

Reika Hashimoto
橋本 麗香
1980年生まれ。10歳のとき知人の勧めでモデルになる。99年、映画『白痴』で浅野忠信の相手役として俳優デビュー。主な出演作品:映画『白痴』『実験映画』『盲獣VS一寸法師』(2002年公開予定)、雑誌『Ray』『25ans』『sweet』など。
橋本 麗香 さん(モデル・俳優)
99年、手塚眞監督の映画『白痴』で「銀河」役でスクリーンデビューした橋本麗香さん。
舞台は過去とも未来ともわからない戦争に明け暮れる日本。
「銀河」は戦意高揚のため、歌い踊るアイドルだ。
暴力的な振る舞いを見せながら、誰よりも純真な気持ちを持っているという難役をこなした橋本さん、そうした演技力は何によって培われたのかお聞きしました。
そうですね。でも、はじめはわけもわからずやっていたので、「仕事をしている」という考えもプロ意識もなかったです。それは幼かったせいもありますけれど。
それがだんだんとプロとしての自覚が出てきて、仕事をする意味もジワジワとわかり始めたんです。例えば16歳くらいでモデルの仕事を始めたとしたら、環境が急に変わるわけで仕事への取り組みも考え方もわからず、戸惑いもあると思います。私の場合は「仕事とは何か」について自然に考えるようになったので、環境も自分の考えも急に変わらずにすんだのでよかったですね。

やっぱり映画『白痴』の出演ですね。そこではひとつのものをみんなでつくる意識が必要で、それはやはりモデルのお仕事とは違うんだなと思ったんです。でも、映画を終えてから、モデルの仕事をしたときに、実はモデルもそういう意識が必要なんだなって気づいたんですね。当たり前ですがモデルの自分がいるだけで何とかなるわけじゃないんだ。そう気づいてからは仕事に対する思い入れも強くなりました。
ようやく仕事のシビアさに気づいたんですけれど、でも、そういうことに気づいたほうが楽ですね。「一緒につくっているんだ」という意識があるほうが楽しいです。「仕事だから」といったこなす感覚よりも楽しんでできますから。

スチールでカット数の多い仕事では、そういうこともあったかもしれないですね。はじめは雑誌などに出られることがうれしかったんですけど、それになれてしまうと忙しさに追われているうちに、ついこなす考えになってしまうんですね。でも、それも映画に出演してから変わりました。
そういう風に見られるように4ヶ月くらいレッスンしました。でも、当時は「レッスンに行きたくないなぁ」と思うこともありましたね。"銀河"という大役に抜擢されるとは思っていなかったものですから、でも引き受けた限りは逃げられない。だからレッスンに行くしかないって頑張って通いました。その結果、自分でスクリーンを見ていても、いかにも演技をしているというのではなく、自分が銀河そのものに見えたので、すごくうれしかったです。

台本はあったんですけど、手塚眞監督はずっと読ませてくれなくて…、ふつう台本を読んで役作りにとりかかると思うじゃないですか。それが全然違って、発声練習に始まって、滑舌、早口言葉。その基本が終わったら、役の気持ちを理解するために監督との話し合いがありました。レッスンは2時間で、そのうち1時間は監督とのコミュニケーションに割かれていました。そういうことが何に結びつくのかわからなかったので面倒だって思ったんですけれど、監督と話していくうちに役のイメージができたんですね。
銀河という女性はみんなが持っている、けれど隠している心の寂しいところや強がったり、意地悪なところを表にはっきり出すんです。そのことに気づいたとき、銀河を好きになった。自分の中に共感できるところを探しているうちに、心打たれたんです。だから、銀河を見てくれる人も、そういう私の心打たれる気持ちをきっとわかってくれるんじゃないかなって思いました。

中学生の頃は遊ぶことが楽しくて、仕事が入っても友達といるほうを優先してお休みをもらったりしていました。高校生になって、遊びと仕事が半々になってきて、最後は仕事の割合が多くなっていきましたね。卒業したときに思ったのは、「これから自分は社会人なんだ」と、無理にでもそう思って仕事をしていました。学生という立場だと何かと楽でしょう。逃げにもできますから。だから重みをあえて自分につけたというか…、そうじゃないと遊びたいって思うでしょうし。
小さいときから、それが当たり前でした。だからですかね、高校を卒業してからは、同年代の子と話をしているとギャップを感じる時があります。みんなやっぱり遊びたいのか、仕事に対する考えが全然違うんですね。それはちょっとしたことなんだけど、大きなずれとして感じます。甘いというか、「ああ、そういう考えなんだな」って。まあ、いろんな人がいるんだからと思っていますけど、この頃、合う合わないがはっきりしてきましたね

モデルの仕事をやりたい子は多いと思いますし、事務所に所属している子も実際多いと聞きます。でも大切なのは、事務所に入る前に自分がどうしてこの仕事をしたいのかということだと思います。こういった世界は、外見は華やかなので、「出られたらいいな」というイメージを抱きがちだと思うんです。
でも、やってみると全然違う。人に何かを伝える仕事ですから、ただ出たいと思って憧れているだけでは通用しないと思います。どうして表現したいのか。その理由を明らかにしておいたほうが自分も、まわりも仕事をやりやすい。でも、自分の意志をはっきりさせるのは難しいことですね。

私も小さいときはやりたいことが何かわからなかったです。いまはこういう仕事ができることは普通じゃないし、恵まれた環境にいるなと意識するようになっています。だからそこで自分の活躍を見て、喜んでくれる人がいることがうれしいんです。「映画観たよ。すごくよかったよ」と言われたら、やっぱり人の心に作品を伝える仕事をしているんだなと実感できますから。誰かに私の活躍を見てもらうことで、それが人の心に響くことになれば、ベストですね。
難しいですよね。でも夢を持って、それに向かって行く人と、「何かやりたいな」とただ思って過ごしている人とでは、生きている内容が違うと思うんですよ。目標を持って、自分が何ができるのかって考える。この仕事をしたいんなら、少しでも演技の練習をする。歌手になりたいんならボイストレーニングをするとか。
例えばオーディションに行くまでにも、することはいっぱいあると思うんです。そういうことは学校に行きながらでもできます。レッスンをすると自信がつくし、何もやっていない人との差はずいぶん出てくると思うので、そういう努力はお勧めしますね。

私はモデルを長年やっていたので、ポーズをつけるのも自然と身についたんですけれど、ポージングの基本をまったく知らないで現場に入ってくる人も中にはいます。そういうの、すごく不思議なんです。なんでモデルの経験のない人が、これまでモデルをしてきた人と仕事をするのに練習のひとつもしてこないんだろうって。家の鏡でポーズをとってみるとかでいいと思うんです。結局、現場で周囲が困るし、また本人もつらい思いをするから、レッスンはやはり欠かせないと思う。でも、私はそういう努力を人に見られたくはないですね。

すごく有名になりたいわけではなくて、自分にとって意味のある仕事をちゃんとやっていきたいです。まだ俳優を始めたばかりですけど、モデルと両立させていきたいと思います。もちろん、モデルを俳優のためのステップにすることなく、ひとつひとつ中途半端にすることなく、ちゃんとやりたいですね。
映画や雑誌に出ることに意味を求めるのではなくて、誰かに何かを伝える仕事ですから、それがちゃんとできるようになって、人の心を打つ活躍がしたいです。そういう方向にこれから年々成長できればいいですね。まあ、無理はせず落ち着いてやっていこうと思います。

Reika Hashimoto
橋本 麗香
1980年生まれ。10歳のとき知人の勧めでモデルになる。99年、映画『白痴』で浅野忠信の相手役として俳優デビュー。
主な出演作品:映画『白痴』『実験映画』『盲獣VS一寸法師』(2002年公開予定)、雑誌『Ray』『25ans』『sweet』など。
Official Site:
http://www.neontetra.co.jp/neon/reika/