

毎日新聞科学環境部編集委員。科学ジャーナリスト。環境からクローン人間まで、科学の目で社会を読み解く。著書に『ノーベル賞科学者のアタマの中』『遺伝子問題とはなにか』ほか。
2004-09-18 号
青野 由利(科学ジャーナリスト)
台風に地震に火山の噴火。このところ、自然の驚異を改めて感じさせるできごとが続いています。
科学技術はこうした現象に、どこまで対応できるのか。
台風の場合、進路も強さもある程度予測がつきます。だからといって、その威力を弱められるわけでも、方向を変えられるわけでもありません。
地震の場合、本当の意味の予知は現状では不可能です。本当の予知とは、「いつ、どこで、どの程度の規模で」地震が起きるかを正確に言い当てることです。
このあいだ、2回連続して紀伊半島沖で発生した地震の震源は、マグニチュード8クラスといわれる東南海地震の震源域に近く、ひやりとさせられました。今回の地震はプレートの内部で起きていて、プレート同士の境界で起きる東南海地震の引き金にはならないといわれます。でも、「本当にまったく無関係か」といわれると、学者によって意見が異なります。
火山の噴火も同様に、本当の予知はできません。浅間山の噴火も、いったいこの先、どういう過程をだどるのか、正確に言い当てられる地震学者はいません。
などと、悲観的な見方を並べましたが、地震も火山も、一昔前に比べるとずいぶんいろいろなことがわかってきたのも確かです。大事なのは、現時点の科学でどこまでがわかり、どこからがわからないのかを、バイアスのかからない目でしっかりと見極め、できる限りの対応を取っていく事です。
これは、あらゆる科学や技術に共通のことではないでしょうか。
たとえばBSE問題でも、原発の安全対策でも、地球温暖化防止でも、再生医療の臨床研究でも、同じことだと思います。
私がこのコラムを始めたのは2001年の春ですから、3年半になります。その時々の科学のできごとをつづっているうちに、あっという間にたってしまった気がします。
この間に、米国では同時多発テロが起き、科学者の世界にも影響を与えました。スペースシャトルの重大事故が起き、日本のH2Aも失敗しています。SARSや鳥インフルエンザという手強い相手も登場しました。
一方、日本のノーベル賞受賞者は3人増えました。
あっという間にたったわりに、ずいぶんいろいろなことがあったことに気づきます。
私はこれからも、科学ジャーナリストとしてあらゆる科学を追いかけていくつもりですが、本コラムはここらへんでひとまず一区切りとさせていただくことにしました。
お読みいただいた読者の方々には、心よりお礼申し上げます。なかなか、読者の反応にお答えできなかったことをお許しください。
さて、これから21世紀の科学はどのように展開していくのか。ぜひ、みなさんも注目し、誤った方向に行きそうなときには声をあげつつ、科学の営みを楽しんでいっていただきたいと思います。
またどこかでお目にかかる時まで、Au revoir !