ネパール留学中、大陸をまたぐ"国際路線バス"を企画立案。1994年『ユーラシア大陸横断バス』、1998年『アフリカ大陸縦断トラック』を実現。2002年には『南米大陸縦断バス』を実現予定。
2015-05-10 号
白川 由紀(紀行フォトエッセイスト)
ひょんなご縁を頂いて、先日、とある別荘地のオーナーさん×管理会社さんの会議にオブザーバーとして出席させて頂いた。
これまでとんと別荘地には縁もなく、だからそこで起きている諸々はなんにも知らなかったのだけれど、実際に運営している人たちが集まる場に居合わせたことで、一見優雅そうな別荘地に“まったく優雅でない現実”が横たわっていることを、初めてたっぷり知らされた。
「うちの別荘、あなたにあげるから、なんとか有効活用してくれない?」
なんて話を聞くようになってから、数年は経っている気がする。
13年前に友人の力を借りて3年かけて自力改装をし、今、あたしと仲間たちで運営しているお店は、表から見るとお店、裏から見ると“空き家対策”(笑)。
ゆえ、周りの人からも“空き家を有効活用する人”と思われている節があるのか、よくその手の話を聞くようになった。
具体的に上がった話だけでも3軒。
熱海の古いマンションと、静岡の古い民家と、伊豆下田の民家。
ひゃー。
そうなんだよねえ〜、ちょうどあたしの親世代、高度成長期を過労死する人も出しながら必死に働いた世代は、別荘さえ持てる時代だった。
その頃には売買も激しく行われただろうし、だからインフラを整備するお金になんぞ、まったく困らなかった。
けれどね、時代が変わっちゃった。
まず、別荘に行くまでの時間とお金がもったいない、それどころか管理費さえ払えないよお、維持メンテにもこんなにお金がかかるなんて、こんな荷物は背負えないよ〜(涙)というものに変わってしまったんだなあ。
先日出席させてもらった会議がまさにそうだった。
別荘地を開発&管理していた会社の社長も代が変わった。
→そして売買数が激減し、水道などのインフラの整備にまわせるお金が減った。
→40年前に開発されてるわけだから、当然インフラは経年劣化で傷む。
→各別荘のオーナーとの最初の管理費契約額では環境を維持できなくなった。
→管理会社が管理費の大幅値上げをオーナーさんに願い出た。
結果。もちろん、大もめ〜(笑)。
(きゃー!!ニッポン、たいへーん!!)
会場にいた150人余りのうち、95%以上の人が70代から80代だった。
おばあちゃんはよろけながらマイクを握りしめて反対の意を唱えているし、おじいちゃん達もフラフラしながら「どうすりゃいいのだ!!」と激昂してる。
ううう。なんか無性に胸が痛んだ。
管理会社の2代目社長だってこんな難題を突きつけられるとは思ってなかっただろうし、40年前に別荘を購入した人たちだって、こんなことになるとは到底思ってなかったはず。
オーナー達は大方が値上げを願い出た2代目社長を責めていた。
けれどねー。これってきっと日本全国の別荘地で同じことが起きてるんだろうなと思った。それと同時に、本当に空き家問題、深刻なんだな、と。
別荘(だけでなく空き家も)はもはや資産を生むようなものにはなり得ない。
けれど放っておけばただの巨大なゴミになる。
だから目指すは、できることは、そうだ、ゴミにならない程度の維持だ、維持!!
も一つ、忘れちゃいけないのが、各地でよく耳にする話。
「中国の方がじゃんじゃん、日本の田舎の不動産を買っていかれるんですよ」
日本人としては、これも少々胸が痛む。
くぅ。これらを一挙両得で解決できる方法はないのかしら……。
うーむ、うーむ、うーむ……???
あーっ! いいこと、思いついたっ!!
いずれにしても、インフラ整備のお金はいる。
けれどそれを、経済縮小方向の日本人に頼るのはムリがある。
→だからやっぱり、観光客の皆様に負担をお願いしちゃおう!
それで。別荘地に関しては……。
年がら年中そこにいる人ばかりではないのだから、空いている時は一軒一泊1万円で丸ごと貸してしまおう!
しかもそれを一軒だけがやっても、外部に対するインパクトが足りないので、
【息も絶え絶えの別荘地を丸ごと、一軒一棟の離れがたくさん集合している巨大なホテルと認識して、「今回はどのおうちに泊まりたい?」的に、山にある別荘地なら登山客に、海にある別荘地なら海水浴客に、日本人、外国人問わず、Hotel Bessochi(ホテル別荘地)として貸し出しちゃえ!】笑
そのエリアに2軒3軒ある既存の宿泊施設さんには迷惑かけちゃうかもしれないけれど、別荘地という巨大な敷地すべてがまとめてインフラが劣化してゴミになっていくことを考えたら、少なくともその地域が存在できる方がまだまし。
そして都心に暮らす人達はなるべく、都心の家以外にもう一軒、車を買う程度の価格で田舎の空き家を購入して管理するってことにして、土地が外の人のものになっていくのを食い止める。そうすれば、自分も有事の際には都心から田舎へ疎開もでき、何もない時には地域全体の宿泊施設リストに入れてもらって、お客さんに丸ごと一棟貸し出して、維持費くらいはなんとかなるっていう話。
そこで利益を生み出そうとするとどうにもならないけれど、少なくとも地域が消滅してしまうかもしれないことを考えれば、現状維持でまわる、それだけで御の字なんじゃあないのかなあ……。
要は、いずれにしても少子化は免れないんだから、一世帯につき家を1軒以上持った状態でなんとかそれらを維持継続させていく(ゴミにしない)ためにはどーすればいいかっていう話。
自分で想像しておいてなんだけれど……結構これはこれで面白そう。
おっと、いけない。空想はいいけれど、その前に法律があったんだっけね。
そっか。この方策に持っていく前に、旅館業法やら消防法の壁があったっけね。
いやいや逆にいえば。
法律が変わるのを待ってたら、別荘地も空き家の多い地方も、すべて使えないゴミになっちゃうよ。急がなくっちゃ。
がんばれニッポン、踏ん張れニッポン! 笑
こんな事もイベント化しちゃえば、閑散とした別荘地も外部からのお客さんでにわかに活気づくかも!?しれないし、ね。