

ネパール留学中、大陸をまたぐ"国際路線バス"を企画立案。1994年『ユーラシア大陸横断バス』、1998年『アフリカ大陸縦断トラック』を実現。2002年には『南米大陸縦断バス』を実現予定。
2002-08-16 号
白川 由紀(紀行フォトエッセイスト)
前回は「ユーラシア大陸横断バス」を実現させるため、人集めのためにビラを電柱に貼ったということを書きました。今回の「南米縦断バス」ではその作業は省くことができました。なぜって、これまでユーラシア大陸やアフリカ大陸に走らせてきたバスの累積乗車数が100名ほどあったので、その中で私の旅のカタチを気に入ってまた行きたいって言ってくれる人がいたから。

これが、自分なりに一生懸命作ってみた企画書と挨拶文。熱意さえこめれば、100人のうちの少なくとも3人のココロには響くものなのだということを、私は経験則で知ったような気がする。
(「DiMAGE X」にて撮影 協力:ミノルタ株式会社)Click
今回始める「南米縦断バス」に参加してくれる人は、全員がユーラシアかアフリカのリピーター。だから私の方も、電柱にビラを貼るという作業をせずとも、「また機会があったら誘ってね」と言ってくださる人々に声をかけるだけで、7名ほどが集まりました。
そしてやっと資金の目処がつき、自分の仕事でプールした資金も合わせて、南米を縦断するバスを代理人(古くからの友人)を通してオーストリアで購入しました。
人が集まり、バスも手に入り、ルートは本などを買いあさって調べて決定。
あとは、私が現地で取材活動に使う機材をどう調達するか。
講演会で、よく訊かれることがあります。
「白川さんは、大金持ちのお嬢さんなんですか?」と。
この場を借りて宣言しておきますが、ごく普通の家で育った私はそんな好条件は最初からあるはずもなく(笑)、必死で条件を揃えていく努力を続けているだけです。
だから、自分の取材に使う機材を揃えるにあたって、それを満足いくように揃えるだけの資金は持ち合わせていないので、私の夢を買って下さり、なおかつ私の取材活動に可能性を見いだして下さる企業の方々を探そうと思い立ちました。
ユーラシア大陸横断バスを始めた当時、私が持っていた唯一の機材は一眼レフのカメラ。でも三ヶ月の旅となれば、フィルムはいるし、パソコンも、記録媒体もいる。
考え抜いた揚げ句、ニンゲン、お金以外で何か人が動く動機があるとすれば、それはやっぱりハートだと、心を込めて手紙を書くことにしました。
こうこうこういう理由で、こんなことをやりたくて、その材料はここまで揃っていて、で、それがどう社会に還元されるのかを、自分なりの言葉で紙に並べました。
社会というのは一人で成り立っているものではないので、協力をお願いする場合にはその企画が自分個人の喜びのためだけであってはならない。自分が創り上げる企画が、社会とどうリンクしていけるのか、どう役立つかをきちんと説明できなければなりません。
私の「大陸横断バス」の場合は、参加した人々が得る広い視野がその後日本社会に散らばって有効に役立っていくことだろうし、またそれに参加できない人に対しては、3ヶ月間の夢を見られるということ。また企業の人々にとっては、この企画に関わる人々への認知、要するに広告をきちんと還元できればいいわけですね。
よく講演会で私が機材面ではいくつかの企業協力を頂いているという話をすると、個人的な旅に企業が協賛してくれるのですか?という質問を受けることがあるのですが、世の中やはりそれほど甘くはありません(笑)。社会は個々人のリンクとしての活動の場なので、きちんとしたエネルギーの受け渡しができていないと協力して頂くことは難しい。だから私は私なりに必死でその辺りを考えました。
で、電話帳で自分が必要な機材を作っている企業の住所を調べ、お手紙をお送りしました。
そこで、100分の3という法則が出てくるのですが、企業というのは組織ですが、その中で働いていらっしゃる方々はやっぱり個人なのですね。100人にお送りして、97人はダメでも、主旨さえしっかりしていればそれに3人は賛同して下さる方々というのはいるものなのだということを、実際の体験を通して知りました。
私は本当に世の中に希望を感じたし、なによりもありがたかった。
今回の「南米縦断バス」プロジェクトでも、ミノルタ(株)からすぐにお返事を頂きました。
知らないところからのDMというのは、そのほとんどがゴミ箱に入れられるものだと思っていた私は、わざわざ封を開けて中味を読んで下さって、お忙しいなかにデジタルカメラをアレンジして下さったということに、 逆に驚いたくらい。
やっぱり。なんでもやってみないとわからないものですね。
でもそれを協力して頂いたお陰で、このサイトで南米からの実況中継をする小さな目標にまた一つ近付いた。
みなさん、ミノルタのデジカメ「Dimage X」を使った南米レポートを、ぜひ楽しみにしていて下さいね。
(次回に続く)