2002-11-12 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
先週金曜日の「朝まで生テレビ!」では、北朝鮮問題をめぐる“拉致”と“核”と日本の“安全保障”について熱い議論が交わされました。今、最も国民的関心が集まっている北朝鮮問題ですが、討論の中心になったのは、やはり拉致問題でした。
番組で議論された内容について、まず大まかに触れておきましょう。10月31日の日朝国交正常化交渉の決裂を受け、日本としては、交渉再開のスタートラインをどこに設定すればいいのか?逆に北朝鮮から見た交渉再開の条件は何か?そして日朝それぞれが、何を持って拉致問題の解決とみなすのか?ということが最初に議論されました。
拉致問題の“ゴール”の定義は、当然のことながら日本と北朝鮮で隔たりがあります。お互いが同意できる着地点を、まずは今後の事務レベル交渉で模索していくことになりますが、相手からより大きな譲歩を引き出すためには、日本が手にしている“カード(切り札)”をどの段階で出していくかが、カギになります。
日本の最後の“カード”は、もちろん北朝鮮への“経済援助”ですが、日本側はそこへ至るまでに、外交上どんなカードを持っているのでしょうか?また、それをどの段階で出せばいいのか?そうすることが、北朝鮮にいる拉致被害者の家族たちにどのような影響を与えるのか?といったことも議論に上りました。
また討論の中で、『拉致事件に対する責任をどこまで追及するか?』ということも重大な問題であると認識されました。追及を突き詰めていけば、最終的に金正日主席の責任を問わざるを得なくなり、ひいては北朝鮮の体制を揺るがすことにもつながります。果たしてそれは、日本を取り巻く北東アジアの平和と安定にとって、望ましいことなのでしょうか?
北東アジアの未来予想図を構成するのは、そこに位置する北朝鮮、韓国、中国、日本などの国々だけではありません。日本の同盟国であり、韓国と日本に軍隊を駐留させているアメリカが、北朝鮮とどう向き合うか?も重要な要素になります。
アメリカは北朝鮮を“悪の枢軸”と見なしていますが、それは、本気で攻撃を仕掛けて現体制を倒そうということなのか?それとも、現体制を維持しながらコントロールしようということなのか?私達も推察するしかありません。
イラク攻撃をやるかどうか?その期間や規模はどのくらいか?などによって、アメリカの北東アジア戦略も左右されるでしょう。いったいアメリカがどういうつもりでいるのか?ということが討論の最後のテーマになりました。
最後まで議論を聞いていて、私の中で、改めてハッキリわかったことがあります。それは北朝鮮問題、とりわけ拉致問題の解決が、今後どのような過程を経て行われるのか?その全体像や時間軸を、誰も描けていないということです。
一体いつになったら、拉致被害者たちは家族と再会できるのか?交渉再開のために切るべき最初のカードは何か?現段階では、専門家でさえ自信を持って“こうすべきだ!”と言うことができない状態です。
ただ、交渉のステップは、所々ハッキリと浮かび上がっています。ごく部分的にでも、現時点で言えることは何なのか?来週から一緒に確認していきましょう。