2002-06-03 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
ワールドカップが始まって5日目、今日6月4日はいよいよ日本代表チームが初戦を迎えます。日本中の期待を背負って、ピッチに赴く選手たちの緊張感を思うと、応援するこちらまで身震いがしてきます。初戦の相手はベルギー。日本代表チームにはまず1勝を期待して、応援したいと思います!
さて、先週からお話している有事法制関連3法案は、今国会では時間が足りず、会期を延長した中で話し合われるか、あるいは、次の国会に持ち越される可能性が濃厚になってきました。
私個人としては、時間をかけて話し合うことに賛成です。なにしろ、有事法制はまだ、わからないことだらけ。たとえば、先週、「周辺事態と武力攻撃事態は並存することもある」という趣旨の小泉総理の言葉をひきました。
周辺事態と武力攻撃事態、それぞれを規定する法律を読んでみても、なにがちがうのか、さっぱりわかりません。しかも同時に存在するとは、どういうことなのでしょう。この二つの事態の違いは、武力行使の線引きになるはずです。それが同時に存在するなんて、頭がこんがらがってしまいます。
実は私にも、さっぱりわからなかったので、一生懸命考えて、人にも聞いてみました。そして、現段階では、この有事法制を現実にあてはめて説明することは、専門家さえ難しいのではないか、ということが、だんだんとわかってきました。
それだけ、この有事法制が、法律としてまだ完成していない、ということだと思います。けれど、自分の疑問を解決する意味でも、なんとか私なりの説明をつけてみようと思いました。
武力行使の境界線になるはずの二つの事態が、同時に存在するとは、こういうことではないでしょうか。
周辺事態法に基づいて、日本がアメリカ軍の後方支援をしているとします。このとき、アメリカ軍が戦っている相手が、武力攻撃の矛先を日本に向けているか、微妙な状況にあるとしたら・・・
日本は、一方でアメリカ軍の支援をしながら、他方、武力攻撃を受けたときのことを考え、出来る限り早い段階から準備を進めておきたい、と考えるでしょう。
そこで武力攻撃事態の定義を、あらためて振り返ると、武力攻撃事態は、有事の前の段階を含んでいます。この“前の段階”があることによって、攻撃を受ける前の早い段階から、自衛隊を動かせるというわけです。
これまでの政府の答弁によれば、武力攻撃事態は、武力攻撃の「発生」「発生のおそれ」「予測」の3段階に分かれていて、「発生のおそれ」と「予測」の段階では、日本は武力行使をしません。「おそれ」や「予測」では武力行使に向けた準備だけが行われます。
そして、上記の例のように、一方でアメリカを支援しながら、日本の領域においては、武力行使の準備を進める、といった場合に、周辺事態と武力攻撃事態が並存するわけです。
どうでしょうか。武力攻撃事態の「発生」と「おそれ」の間がラインだ、というのなら二つの事態が一緒に存在するのも納得できますよね。
しかし今度は、武力行使をするにあたって、「発生」と「おそれ」を区別する必要が出てきます。しかし、相手の武力攻撃の意図や行動を、現実にはっきりと確認して、区別できるものでしょうか。それこそ、確証が得られないうちに日本が行動を起こせば、こちらから攻撃意図を見せたととられかねません。
“区別”の問題は、際限がないようにも見えます。次回は、対米支援についても考えてみましょう。