2002-05-07 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
ゴールデンウィークが、あっという間に終わってしまいました。まだ休み気分が抜けきらない、という人が多いのでは? しかし、世の中がお休み気分の中、鈴木宗男議員の秘書と井上前参議院議長の秘書が相次いで逮捕され、事務所に家宅捜索が入りました。政治家とお金をめぐる疑惑に、とうとう検察のメスが入ったのです。
井上前参議院議長は、秘書が逮捕されたその日に辞職を表明しました。議員辞職は、辻元清美さんと加藤紘一さんに続いて、今国会の会期中、実に3人目となります。今国会が、如何に「政治とカネ」の問題にふりまわされたかを象徴していますね。
そして、いま世間の注目は“4人目”の去就に集まっています。鈴木議員が辞職するかしないか、これは、小泉総理が「政権運営に影響がある」と発言しているほど、国会を左右する問題です。
野党にしてみれば、これを国会での駆け引きに使わない手はないでしょう。自分たちが反対する与党の法案を通させないため、あるいは、法案の中身を譲歩させるために、鈴木議員の議員辞職要求や、偽証罪での告訴をちらつかせながら、再度の証人喚問を迫り、法案の審議をストップさせるようとするわけです。
もちろん、国会議員には不逮捕権があるくらいですから、検察によって疑惑が解明されるまで、本来なら辞職する必要はありません。しかし、すでに加藤さんや井上さんの例から、辞職を前提とした責任追及という流れが、世論に定着している感があります。その上、通したい法案の審議が進まなければ、与党は何らかの手をうたざるを得なくなります。
ところがご本人には、議員バッジをはずすつもりが、まったくないようです。こればかりは、ご本人の気持ち一つなのですが、それで世論は納得するでしょうか。これまでも「政治とカネ」をめぐる様々な事件で、「秘書が、秘書が」と釈明をする政治家は後を絶ちませんでした。責任を逃れようとする発言を幾度となく聞かされてきた国民は、政治家の無責任さにうんざりしています。そして、またも今国会で「秘書が」のフレーズを聞かされたうえに、議員が次々と釈明を翻し、さすがにもう責任逃れは許されない、という世論の空気が高まって、秘書の疑惑に対しても議員の辞職を迫っているのです。
もちろん、鈴木議員一人の進退問題ですむわけはなく、真実を明らかにし、これまで以上に厳しい「政治とカネ」のルールを作ることが、国会の優先課題でしょう。
そういうわけで、重要法案の審議は、ちょっぴり後回しになりそうです。その間に、私達は重要法案の中身について、しっかり勉強し、考えておきましょう!
有事法制について、先週は、日本が自衛について主体的に取り組むのか、あるいは、アメリカの戦略に乗るのか、という視点があるという話をしました。なぜそれが問題になるのでしょうか、そもそも今回の有事法制の意図は何なのでしょうか?
主体的な自衛と、アメリカの戦略に乗ること、この二つは、憲法について、日本の国のあり方について、選択をすることに他なりません。
自衛にしても、アメリカの戦略にしても、日本が安全保障のための軍事力をどのような形で確保するか?という問題です。しかし日本国憲法は「軍事力の保持を基本的に認めない」という理念に基づいていますから、これは“憲法の枠の外にある現実”です。
では、我々日本人は、現実と憲法の折り合いをどうつければ良いのか?これはまさに、日本の国のあり方を問う問題なのです。
次週は、憲法と日本の有事について、考えてみましょう。