2002-04-30 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
今月の「朝まで生テレビ」が放送された先週金曜日、国会では重要な法案が相次いで審議入りしました。一つは先月のテーマだった「個人情報保護法案」、そして今月のテーマである「有事法制関連3法案」です。
金曜の放送では、「今、ナゼ”有事法制”か?!」というタイトルで、与野党の国会議員、地方自治体の首長、軍事・憲法の専門家、ジャーナリストをパネリストに招き、議論を繰り広げました。これから何週かに亘って、その内容を追いながら、有事法制について考えていきましょう。
討論は、まさに「今、ナゼ”有事法制”か?!」という田原さんの問いかけから始まりました。とりわけ、有事法制に反対する立場からの「今ナゼ?」という問いには、「日本に武力侵攻があると想定されたのは、むしろ東西冷戦時代で、すでに必要がないことを、今さらやろうとしているのではないか?」といった批判が含まれていることが多いようです。賛成派は、これにどう答えるのでしょうか?
高校生のみなさんには、想像しにくいでしょうけれども、東西冷戦時代、日本はソ連が攻めてくることがあるかもしれない、と真剣に考え、緊張感をもって日本海に臨んでいました。北海道をはじめとする”北の守り”が、国の安全の要諦と考えられていたのです。
日本は、東側のリーダーであるソ連と日本海を挟んで対峙しており、西側のリーダーであるアメリカにとって、まさに自らの陣営の最前線でした。だからこそ、日本は、「アメリカが守ってくれると信じていた」・・・パネリストの一人、石破 茂 衆議院議員(自民党)さんが、「今なぜ?」という問いに対する答えの中で述べています。
つまり冷戦時代、日本は有事について主体的に考えなくても、アメリカに従っていれば、国を守ってもらえる、と考えていたわけです。
しかし、ソ連の消滅によって東西の対立構造が解消され、日本は最前線ではなくなりました。アメリカにとって軍事上の重要度は低くなり、日本を守る必要がなくなります。だから日本としては、自分自身で有事に対応する準備を整えなければならない。これが、「今なぜ?」という問いに対して、討論の中に出された答えの一つです。
しかし田原さんは、今回の有事法制は、「アメリカに食い込むためだ」と言っています。自衛について主体的に取り組もう、というのではなく、アメリカの戦略に食い込もうとしている、これが今回の有事法制の意図だととらえるなら、その背景には何があるのでしょうか? 来週に続きます。