2002-01-01 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
あけましておめでとうございます。2002年、みなさんはどんな年にしたいと思いますか? 私は去年よりも、もっとたくさん勉強したいと思います。「えーっ!大人になっても勉強したい、なんて信じられない!」っていう声が聞こえてきそうですね。もちろん、私も受験勉強はちょっと勘弁願いたいけど、私がやりたいのは、受験では勉強しなかったことなんです。
受験勉強では、設問と解答のパターンをたくさん持っていて、それを素早く引っぱり出してくることを訓練しました。言ってみればそれは、ゲームのようなもので、訓練して上手くなると、得点が上がります。
私は“東京大学に合格した”ということだけをとれば、受験勉強というゲームでトップを極めたかもしれません。けれど、会社に入って、仕事を始めてみてわかったのは、実は私は、ゲームに強かっただけなのです。社会で生きていくために最も必要なのは、受験勉強のように、早さや正確さを競うゲームの腕前ではありませんでした。
私がやりたい勉強は、設問も答えも決まっていなくて、すべて自分で決める勉強です。設問は、私にとって気になること。たとえば、日本はアメリカとどういう関係になればいいのか、年金がもらえなくなることがわかっているのにお金は払っている私達の世代は、どうすればいいのか、コミュニケーションに使う語彙が少なくなり、言葉で他人との違いを乗り越えようとする人が減っている時代に、社会のルールはどうやって作ればいいのか……いま、私が生きている社会がどうなっていくのか、ということが、私にとっての設問です。
正解も、もちろん決まっていません。ただ、確信を持って正解だと言える答えを見つけること、自分なりに正解の裏付けを取ることは、簡単ではないと思います。私の設問だと、現在の状況にいたるまで、どんないきさつがあったのか、先人はどんな試みをしたのか、そのとき、人はどんな気持ちになってどんな行動をとったのか、社会の教科書や年表にはまず載っていない歴史を、自分なりの視点でたどっていかなければならないでしょう。
また、これからの技術の発達や人間の変化が、どういう方向へ進んでいくのか、情報を集めて自分なりの予想を持つことも必要だと思います。そして、知れば知るほど、きっとまた新しい設問が出てくるでしょう。
私の勉強は、何を自分の問題だと思うかも、何を正解だと思うかも自由です。だから、得点もつきません。ただ考えているだけで一生が終わってしまうかも知れません。でも、自分が問題を感じている事柄に、いい正解を出せたら、それが他の人たちにとって役に立つ答えだったら、私はきっと嬉しいと思います。お医者さんが病気を治すように、大工さんが家をたてるように、私は、自分の考えた答えで人の役に立ちたい、と思います。
そうして、私も含めて、いま生きている人たちが、2001年に過ごした社会より、2030年の社会のほうが(その時の基準で)“いい”と思えたら……これが私の夢です。
きっとみんなにも、それぞれの設問があるはずです。高校生のときから少しずつ“設問探し”をしていれば、大人になったと時きっと役に立つはず。設問を探し、答えを探すことの積み重ねが、将来、社会を生きていく時に、心強い支えになるでしょう。受験生の皆さんは、早く受験勉強が終わって、自分なりの好きな設問に取り組めるようになるといいですね! 頑張って!!