2001-11-13 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
アメリカがアフガニスタンに空爆を行った後、オサマ・ビンラディン率いるアルカイダという組織が発表した声明を、皆さんは覚えていますか。その内容は、アメリカに対する敵意に満ちたものでした。
「私は世界中のイスラム教徒に訴える。ブッシュ・アメリカ大統領は、イスラム国家とアフガンの人々に十字軍として敵対することを誓っており、アフガンへの襲撃は、イスラム社会全体を標的にしたものだ…
…イスラム国家は80年以上、苦しみを強いられてきた。パレスチナの人々は今もユダヤ人とシオニストの占領下にある。アメリカとその同盟国による殺戮こそが、テロなのだ。
…航空機を使いアメリカの中枢に仕掛けた攻撃は、素晴らしかった。アメリカはイスラムの地から去り、イスラエルへの支援とイラクへの制裁を終わらせない限り、戦いが続くことを覚悟せよ。
…アフガンへの攻撃によって、アメリカは終わりなき戦いの扉を開けたのだ。神が聖戦の開始をお許しになったことを感謝する。これは、正義と邪悪の戦いなのだ。」
これを180度立場を入れ替えて、アメリカ側から見ても、やはりこの戦争は“正義と邪悪の戦い”です。互いに二元論的で、相容れるところのないこの対立は、どちらかが力で一時的に相手を押さえ込んだとしても、怒りが蓄積すればまた、同じこと(テロ)の繰り返しになり、解決には結びつかないでしょう。
もちろん、アルカイダやオサマ・ビンラディンが、イスラムの人々の気持ちを100%代弁しているわけではありません。むしろイスラム社会が、彼らを“過激な一部の人たち”と見なしているからこそ、今回のテロ事件に対して、多くのイスラム諸国から「反テロ声明」が出されたのでしょう。
アメリカにしても、標的にしているのは、オサマ・ビンラディンと、アルカイダ、タリバンであり、イスラム社会ではありません。しかし、この声明でもわかるように、オサマ・ビンラディンやアルカイダは、この戦争を「アメリカ対イスラム社会の戦争」として、位置づけようとしています。
彼らが、イスラム社会を代弁するかのように語るのは、過激なテロ行為をも正当化するため、ということもあるでしょう。しかし、テロという過激な手法を除けば、彼らと同じように、アメリカに対して怒りを持つイスラムの人々は、少なくないと言われています。
イスラム社会が、歴史の中で蓄積してきた“怒り”とは何なのか、その発端は、20世紀初頭、帝国主義の時代に遡ります。