2001-09-11 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
東京では9月に入って一気に涼しくなりました。すっきり晴れた日でも、日差しに夏のような強さはなく、周期的に雨の日がやってくる、秋らしい天気になっています。しかも、また台風です。皆さんの住む地域では大丈夫ですか? 気を付けて下さいね。
そんな季節の変わり目に、一段と深刻さを増しているのが、日本の不況。みんなも新聞やテレビで、景気がさらに悪くなっているというニュースを最近よく目や耳にするでしょう? 実は9月に経済の危機が来るのではないか(いわゆる“9月危機”)、ということが春頃から言われていましたが、実際に8月の終わりから株価がどんどん下がってきました。失業率や経済成長率、貿易黒字など、経済の“元気度”を示す経済指標も、そんな不安を裏付けるように、のきなみ景気悪化の傾向を示しています。
しかもこれから、小泉改革がもたらす“痛み”が、私達の生活を襲うことになります。改革の「工程表」の発表が先延ばしになったことで、具体的な“痛み”の中身がいまだにわからず、社会の中で不安ばかりが膨張しているようです。
そんな中、時にはそうした不安をもたらす象徴のように、ある時には希望を示す微かな光明のように、日々話題になり人々を一喜一憂させるのが、“株価”。毎日のニュースでは、必ずこの言葉を聞きますね。では、株価はなぜこんなにも、注目されるのでしょうか。
簡単に言うと、株価が下がれば企業の経営状態が悪化し、景気が悪くなるからです。経営が厳しくなれば、企業は生産のための投資を控え、従業員の給料を下げ、場合によってはリストラに踏み切ります。企業で働く人たちは、株価が下がれば、給料が下がったり、クビになったりもしますから、消費を控えます。すると、モノが売れなくなり、経営状態がさらに悪化。株価は下がり、企業は一段と生産を控える、という悪循環になってしまうのです。
そもそも株は、企業が事業を起こす際に、その資金を調達するために、発行するものです。「株券」という紙切れを売るかわりに、企業が儲かれば“一株あたりいくら”という計算で、株を持っている人(株主)にお金を分配(配当)します。株主は、資金を提供する代わりに配当を得る権利を手にするわけです。最初に売り出す値段は企業が決めますが、いったん市場(東京証券取引所など)に出ると、今度は売り買いされることで値段が変わっていきます。欲しい人が多ければ値段が高くなり、少なければ安くなるという、市場の原理にしたがって、儲かっている企業の株は、当然高くなります。
反対に、株価が安くなる、ということはつまり「企業の将来性が無い(この先儲からない)」と市場から判断されていることになります。こうなると、新しい株を発行しても、買い手がつかず、資金を集めにくくなります。儲かりそうもない企業には、銀行もお金を貸してくれません。資金繰りが苦しくなれば、企業は生産のための設備にお金をつぎ込むことが出来なくなります。
さらに、企業は決算(1年間あるいは半年間の利益・損失をまとめて計上すること)の際に、資産として持っている自分の会社の株を売って、赤字を埋めようとすることがあります。もし株価が下がっていれば、赤字が埋まるどころか、さらに拡大してしまいます。そうなると、経営は厳しくなり、生産の縮小を考えなければなりません。
ここまでは、一般的な企業でのお話。今度は、不良債権処理という難題を抱えた、日本の銀行の場合を見てみましょう。