2001-07-17 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
小泉内閣に対して、事実上、国民が評価を示す初めての機会である、第19回参議院選挙が、今月12日に公示されました。今回の選挙は、小泉内閣の仕事ぶりに対して、高い内閣支持率が、そのまま与党への票につながるのかどうか注目ですが、このところ、小泉首相と共に内閣の人気を支える田中真紀子外務大臣が、マスコミで批判を受けています。この批判が的を射ているとするならば、外務大臣としては問題アリ、ということにもなりますから、田中外務大臣の言動は、内閣を評価する上で要チェックでしょう。
田中大臣は就任直後、外交機密費の疑惑を解明しようとして、官僚と対立しました。マスコミや政治家の一部は対立に批判的でしたが、疑惑を隠蔽しようとする官僚に真っ向から勝負を挑んだ田中大臣を、世論は多いに支持したのです。
しかし、就任1ヶ月後のアジア欧州会議で、イタリア・オーストラリア外相との会談の中で、アメリカのミサイル防衛計画を批判する発言があったと報道され、外務大臣には不適格だ、という批判が出るようになります。しかし、本来漏れるはずのない、こうした会談の内容が報道された裏にあったのは、外務省の大臣失脚を狙ったリーク(機密情報を意図的にもらすこと)だったといわれています。「外務省という組織の利益を守るためのリークで、大臣が下ろされるようなことがあってはならない」という「朝まで生テレビ」での民主党・枝野さんの意見には、なるほどと思います。本当にリークだったとすれば、漏れてくる情報は、外務省VS田中大臣のバトルに影響を受けていることを、考えに入れておかなければなりません。
ただ“外務大臣不適格”と批判される理由はそれだけではありません。外務省とのバトルの渦中で、田中大臣はアメリカのアーミテージ国務長官との会談をキャンセルしてしまいます。しかも、キャンセルの理由は二転三転しました。また、別の機会には、国会答弁中に、手元に資料がありながら、「事務方(官僚)が上げてこない」と答え、後から実は資料があったと訂正することもありました。さらには国会で、同じ自民党の鈴木宗男議員からの質問を制限するように、外務委員長に依頼したことで、三権分立を無視したとして、野党だけでなく、与党の一部からも、強い非難が一斉に起こったのです。(行政府の一員である田中大臣が立法府の議員の権利である質問を制限しようとすることは、三権分立をそこなう行為です。)
非難の背景には、小泉内閣のキズを大きくしたい勢力があることも、事実です。しかし、発言のぶれ(=終始が一貫しないこと)、外国首脳との会談を個人的な理由でキャンセル、三権分立に対して理解がない、といったことは、政治家として、また大臣として、どうなんだろう? それを大きく見るか、小さく見るかは、田中大臣に対する期待度と関連があるかもしれません。
日本はいま、外交の舵取りが難しい状況におかれています。だからこそ、国会やマスコミの批判も的を射ているように思えるのですが、田中大臣はアメリカや中国からは非難を受けるどころか、むしろ好意的なメッセージを受けています。国内の批判にも関わらず、外交上の失点は今のところありません。むしろ、批判の声をものともせず、外務省の体質改善に取り組んでこそ、田中外務大臣の存在意義がある、というのが国民の期待の“本音”ではないでしょうか。
次回は新しくなった参議院選挙の仕組みを紹介します!