2001-07-10 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
誕生から2ヶ月あまりたっても、相変わらず80%台の支持率を誇る小泉内閣。目指す構造改革には、痛みが伴うとはっきりしているのに、人気は衰えません。果たして小泉総理は、国民の期待通り日本の未来をバラ色にしてくれるのか? それとも私達は、改革の幻想に踊らされているだけなのでしょうか? 参議院選挙を今月29日にひかえ、6月末の「朝まで生テレビ」では、小泉内閣を徹底検証しました。
そもそも小泉内閣が誕生したのは、この夏の参議院選挙を前総理・総裁の森さんでは乗り切れないという、自民党内の判断があったから。小泉人気で選挙さえ乗り切れば、また改革に反対する自民党内部の勢力が、頭をもたげてくるのではないか、とも言われているだけに、小泉さんの改革がホンモノかどうかは、国民の8割に上る支持者にとっても、しっかり見極めなくてはならないところです。
「構造改革なくして景気回復なし」の言葉通り、小泉内閣に課せられた最重要課題は景気の回復。日本経済のガンともいわれる不良債権をここ2〜3年で最終処理することが、6月21日に公表された経済財政基本方針、いわゆる“骨太の方針”で表明されました。最終処理というのは、返ってくる見込みのない借金を帳簿上から切り離すこと。膨大な借金を抱えた企業や事業が潰れ、銀行にはお金が戻ってこない可能性が高くなります。そこで銀行に国のお金=公的資金を投入して、銀行が倒産しないように支える方法が考えられています。これをめぐって政府内に対立があったり、見通しが甘いという指摘があったりして、今のやり方ではキレイさっぱり処理できないのではないか? ということが議論になりました。不良債権処理のリーダーシップをとっている柳沢金融監督庁長官は、かつて金融再生委員長として公的資金を投入した経緯があり、再び投入することになれば、そのときの政策が間違いだったということになり、責任をとらざるを得なくなります。公的資金はもともと国民の税金ですから、銀行や企業の経営者に対する責任追及の世論も高まるでしょう。そこで、柳沢さんは、公的資金を投入しなくてすむ範囲で処理をすませようとしてるんじゃないか? という指摘が田原さんからありました。慶応大学教授・金子勝さんからは、不良債権の査定が甘く、本当はもっとあるはずで、それに対応してさらに多くの公的資金を準備する(その代わり経営者の責任を厳しく追求する)べきだという意見がありました。
どんな政策をとるにしても、どのくらい不良債権があるのかはっきりしなければ、“最終”処理にはなりません。後から後から不良債権が出てきたのでは、景気の回復はずるずると先延ばしになるでしょう。それでは、痛みに耐える国民もたまったものではありません。果たして、銀行や政府が不良債権を洗いざらい出せているか? が改革の実効性を見極めるポイントの一つになりそうです。
ただ、不良債権処理が実際どう行われるかは、景気動向や、自民党総裁選があるかないかなどを受けて、来年度予算編成を含めた次の国会で決まっていきます。予算の編成は8月頃から具体化してくるので、参議院選挙の結果が影響を与えることは必至でしょう。それは、選挙後にまた取り上げるとして、次回は、小泉内閣で国民の注目と批判の両方を集めている田中真紀子外務大臣と、日米関係について考えます!