2001-06-05 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
小泉さんが総理になって1ヶ月以上がたち、参議院選挙まで2ヶ月を切りました。改革はイメージだけに終わらず、ちゃんと動き出しているかな? 最初に言ったことがどのくらい本当だったか、具体的な行動と照らし合わせて政治家を判断するのはとても大切なことです。小泉総理が初めにやろうとしたことを、ここで確認してみよう!
所信表明演説の中で小泉総理は、「構造改革なくして景気回復はない!」と言っています。これは、仕組みそのものを変えないと、日本の景気は良くならない、ということ。景気の回復が何より望まれているのは、言うまでもないことでしょう。
そこで筆頭にあげられたのが、不良債権の最終処理です。バブル経済の崩壊によって大幅に価値の目減りした株や土地を、バブル崩壊から10年近くたったいまも、多くの銀行や企業が抱えています。株や土地を買うために受けた融資の返済も、多くが滞っています。そのため新しい事業への投資も難しくなり、景気はなかなか上向きません。そこで政府は、公共事業をやって、企業に仕事を作りました。しかしその収入も借金の返済に充てられることが多く、結局景気は上向きませんでした。
この悪循環を断つために、いままで銀行の中でくすぶっていた“取り返せない借金”(=不良債権)をはっきりさせて、ここ2〜3年の間に精算してしまおう、というわけです。借金を棒引きにしない限りは、倒産する企業が出て失業者が増え、ますます景気が悪くなるおそれがあります。しかし、企業を助けようとすれば、その分、銀行を税金で支える必要が出てくるかもしれません。一方で、規制の改革を進めて、競争的な経済システムを作るとも言っています。強い者が勝ち、弱い者が負けるという市場の原理を重視する方向で政策を進めるということです。
さらに国の膨大な借金を減らすための第一歩として、借金の利子を払う目的以外には、新しく借金をしない(国債を発行しない)方針を掲げています。「安易な増税をしない」と小泉総理は明言しているので、国のサイフのひもを締めて、出ていくお金を減らすしかありません。どこをどのくらい削るのか、まだはっきりわかりませんが、いずれにしても、国民は今までと同じ負担で同じサービスを得ることは出来なくなりそうです。
でもそれは、小泉さんが総裁選の時からすでに言っていたことです。みんなが改革を必要だと感じているから、小泉さんが総理になったのでしょう。ただ、不良債権の処理をすすめ、競争的なシステムになると、たくさんの失業者を出したうえで、弱者を切り捨てることにもなりかねません。サポートをどうするかは、とても重要な問題です。小泉内閣も、仕事を失った人が、次の仕事に就きやすくなるための行政サービスなどを提案していますが、果たして効果的で十分な政策になっているかな?
「景気回復のための構造改革」は、他にも「社会保障改革で将来の不安を取り除き、消費を活発にすること」などがありますが、そうした改革がどうなったかは別の機会にチェックするとして、もう一つ、小泉総理の気になる発言は、その後行動にうつされているでしょうか?
就任直後の会見で小泉さんは、憲法改正に前向きな発言をしています。集団的自衛権の行使が、憲法9条の解釈で禁じられていることについて、憲法を改正するか、解釈を変えるかして、行使できるようにしよう、というのですが、この問題はアジアとの関係も考えなくてはならず、まだ世の中の議論が尽くされたわけではない、という意見もあります。
次回はアジアと日本との関係をみながら、憲法や集団的自衛権のことを考えてみよう!