2001-05-29 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
小泉内閣が支持される一番の理由は、政治を変えてくれそうだ、という期待感にあるようです。小泉総理は自民党の中にあって、郵政三事業の民営化を主張してきた人だし、今回の総裁選では"脱派閥"をとなえて、自ら会長まで務めていた森派を離脱しています。さらに、新しい内閣を作るときにも派閥を考慮せずに人選したと表明しています。「派閥からの脱却」が、政治を変えることにもつながっているようですが、さて、自民党の派閥ってどんなものなんだろう?
いま政権の中心にある自民党には、派閥といわれるグループが8つあります。そもそも法案や政策を考えるための勉強会ですが、実質的には自分たちの利権を守るためのグループになってしまっているようです。派閥にとっての利権とは、平たく言うと政治資金を手に入れるためのルートのこと。国民のためになる法案を作成し、成立させることは、国会議員の大切な仕事ですが、それぞれのグループが強い影響力を持つ産業界・企業・団体などもあって、選挙の票集めや資金面で援助してもらう一方、企業や団体がそれぞれの業界で活動しやすい規制が作られる(あるいは撤廃される)ように、法案を提出し、成立させようとします。
法案成立のためには人数が必要です。派閥は人数を力として、関係の強い企業や団体・産業界にとって望ましい法案を通すべく行動し、自分達の利権を守ろうとします。資金援助を受ける一方で、派閥と関係の深い業界のために、法案成立に尽力するところから、自民党の議員は国民のためではなく、党内の派閥のために政治をやっている、と批判されているのです。派閥は癒着の根元の一つ、ともいわれています。
自分たちのリーダーを総理大臣や大臣にすれば、さらに多くの利権が集まってくるので、これまで新しい内閣が出来るときには、それぞれの派閥が当選回数(選挙で当選した回数;国会議員にとっては学年みたいなもの)などを考慮した大臣候補の名簿を提出して、一つの派閥に偏らないよう決めていました。他の派閥とある程度仲良くしておかないと、党のまとまりが悪くなるからです。これを「派閥順送りの人事」といいます。
ところが、小泉さんが新しい内閣を作るときは、派閥の名簿を参考にしませんでした。これは、永田町(国会議事堂を始め、日本の政治の中枢が集まっている街。政治の世界のことを指す)では革命的な出来事です。おかげで、自民党の中ではポジションの低かった田中真紀子さんが、外務大臣という重要なポストにつきました。行政改革担当大臣の石原伸晃さんもしかり。党内の地位ではなく、国民の人気の高い人を大臣にすることが出来たのです。これも、小泉さんが、派閥の力ではなく、メディアや国民世論を味方に付けて総理になったからです。
とはいいながら、他の派閥に比べて、総理が所属していた森派出身の大臣が一番多い小泉内閣。でも、支持率は80%近くです。確かに小泉総理は、この前までの森さんと比べると見た目がスマートだし、熱のこもった話ぶりを見ていると、何かやってくれそうな気がします。でも、気分だけで期待するのはちょっと待って! 小泉さんがやろうとしていることを、もっとよく見てみよう。