

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-09-09 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
少年凶悪事件の犯罪被害者の存在を事実上、「無視」していたを告白した私に、遺族の方々はやさしかった。そして、厳しかった。どうか、これから書いてください。社会に伝えてください。しかし伝えるからには正しく、深く書いてください。私たちもすべてをさらけ出しますから。私がおあいした遺族の方々はみなそう言った。以後、私は少年犯罪の遺族をたずねる旅を続け、『17歳の殺人者』(朝日文庫)、『少年の罪と罰論』(宮崎哲弥さんとの対論・春秋社)、『殺人を予告した少年の日記』(ワニブックス)、『少年に奪われた人生』(朝日新聞社)、『人を殺してみたかった』(双葉社)などを上梓してきた。少年犯罪の被害者遺族だけでなく、通り魔や交通犯罪、強盗殺人事件などの被害者遺族の方々にも多くお会いすることになる。もっとも新しい著作は『少年に奪われた人生』だが、五〇遺族をこえ発送したので、それぐらいの方々とお会いしてきたことになる。犯罪被害者やその遺族の方々のおかれた状況はまさに現代日本の「棄民」というしかなく、犯罪被害を受けたというだけでなく、司法やジャーナリズム、そして鈍感な人権運動家らから二次被害ともいえる屈辱を受けていた。私は被害者の思想ともいえるものに深く接することによって、それまでの私のなかで固定化していた考え方や意識を変革せずにはいられなかった。