

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-07-15 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私が17歳のときに、ある小学校の先生をしている人から読むことを勧められたノンフィクション作家は、斎藤茂男、鎌田慧、吉岡忍さんだった。そのときは、まさか自分もライターの道を志すなどとは思ってもいなかったが、その人は私に「社会を知る」一つの方法としてノンフィクション作品を読むことを教えてくれたのだった。その人が推薦するのがその3人のライターだった。私は以来、かれらが書いた作品をむさぼり読むようになり、ライターとして一人立ちしてからはじっさいにお会いして、さまざまなことを学ぶようになった。とくに、斎藤さんの書かれた『父よ、母よ』など子どもの問題や事件を描いた作品には強い影響をうけた。社会や学校、家庭がいかに子どもを追い詰め、変質させていくか。結果、犯罪を犯してしまった子どもの「背景」こそを問題にするのがジャーナリズムの仕事である。そう思ってきた。鎌田さんの書いた冤罪問題や労働者問題を扱った作品を読むといっそうその考え方が補完されるような気がした。その手法はいまでも正しいと思っているし、ジャーナリズムの本質の一つであるとも思っている。しかし、その構図からどうしてもはみ出てしまう存在があった。それが、犯罪の被害者だった。(この項続く)