

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-04-08 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
荒木さんの作品はずっと買い続けている。とくに高校を卒業した頃からは、本屋で見かけるとすかさず購入、私のアラーキーコレクションは増殖していった。それは私がまがりなりにもメディア界で喰えるようになった今も続いているが、彼はいままでに300点近い作品集を出していて、すべてを揃えることは困難なのだが、いま古本屋で買うと数万円の値段がつく古い作品集も持っている。いつかご本人に会える機会が来るのではないか、とずっと願ってきた。
私は会いたい人のところに押しかけるのはあまり好きではない。もちろん私がカメラマンを目指す者であればそうしたかもしれない。彼のただ一人の弟子(と荒木さんご本人が言う)であり、アシスタントもつとめている写真家の野村佐紀子さんもそうやって日参して弟子入りした人だ。私は「仕事」を通じて、お会いできる機会を待つほうが好きだ。荒木さんを知っている人が仮に私の知り合いだったとしても、おこがましくて紹介してもらう気にはなれないし、そういう出会い方はなぜかすごく恥ずかしいと思ってしまう。例えば、インタヴューに行くなどの出会い方もあるのだが、それを積極的に企画したり、仕掛けたりというのも苦手なのである。なるべく自然なかたちでお会いできる時を待っていた。あれはたしか、いまから10年前ほど前のことだ。私は20代の後半だった。そんなチャンスがやってきたのだ。(この項続く)