

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-03-04 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私は新宿二丁目、すなわち日本最大のゲイタウンの取材をしようと思っていた。その雑誌連載のキーワードは「夜」と「若者」だったから、ゲイセクシャルの若い男性たちの若い熱気で一晩中盛り上がっている新宿二丁目を見逃すテはなかった。私はゲイ雑誌を買い込み、ゲイカルチャーがどうなっているのかから仕入れ出した。何種類もある専門雑誌はヘテロセクシャルである私が読んでも、興味津々の内容だった。というのは、いかにゲイが生きにくい社会であるかがさまざまな言葉で語られていたからだった。職場や学校で男同士でシモネタ話がでても、女性についてばかりなので、どうついていっていいかわからない。ゲイを嘲笑する会話で友人たちが盛り上がっていると、自分があざ笑われているかのような気分になる。自分がゲイであることを家族にカムアウトしたとき、あるいはバレてしまったとき、どうしたか。ゲイの仲間がどうやって生きているかという情報や知りたくとも、地方ではゲイ雑誌を扱う書店など皆無に等しい。仮にあったとしても、それを手にとっているところを見られてしまうと、どんな目にあうかもわからない・・・。とにかく、死活問題といっていいほど、ゲイとしての生きづらさ、社会の不寛容さ、ヘテロセクシャル社会の差別性が書かれていたのである。私は雑誌を読みこむるかたわらで、ゲイの人権についての社会活動をしている旧知の知り合いにもレクチャーを受けた。私はその知人がゲイであることを公言していることは知っていたが、そのことを面と向かって話すのは初めてだった。(この項続く)