

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-02-18 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
1985年の春、私は東京のある大学にはいったが、すぐにいくつかの週刊誌の仕事をかけもちでやりだした。大学にはそっぽを向くかっこうになった。私は高校卒業時に出した本を取り上げてくれた雑誌社の担当者を手当たり次第にたずね、企画を持ち込んでいった。
大手K社の発行する、いわゆるグラビア雑誌で短い記事を書かせてもらうようになり、やがて連載企画が実現することになった。やった、早くも署名で連載なんて、と私は有頂天になった。企画は、若者の「夜」の生態をルポするもので、たしか「夜を駈けろ」というような通しタイトルだったと記憶している。一回目は神戸で「自由ラジオ」を主宰している若者らを取り上げる予定で、私は神戸に足を運び取材をおこなった。しかし、さて原稿を書く段になって、大問題が発生した。一言で言えば、私の文章が下手すぎたのだ。私は何度も書き直しをしたが、担当編集者は首を縦に振らなかった。そこで、窮余の策として考えられたのが、アンカーを立てるというものだった。つまり、私は「企画・取材」をして、文章にまとめあげるのは名のあるベテランに頼もうということになった。私は悔しかったが、名より実を取ろうと思い、編集者とアンカー選びにはいった。何人かの名前が上がったが、私は前から好きだったルポライターNさんにお願いをしたいと思った。