

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-02-11 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
誤解のないように言っておくが、私は計算高く人と付き合えと言っているわけではない。社会に出て、仕事関係の中で作られる人間関係の中では、「相手は自分の肩書があるから付き合っているのじゃないか」と思っていたほうがいいのだ。少なくとも、私はいつもそう心がけている。
前に私の大手新聞の記者のことを書いたが、私の親戚の話で恐縮だが、同じような話がある。定年までバタバリ一線で働いてきたその親戚の男性は、会社内でも取引先でも人望があった。少なくとも彼はそう思っていたようだ。定年後、彼は家にいてもやることがないため、用もないのに出歩いては会社や取引先に顔をだした。しかし、いくたびに邪険にされ、次第に無視されるようになったという。彼はそれまでの人間関係の大半が、自分の会社での肩書があるからこそ作られたものだということに気づかされた。自分の人格が他者を引きつけていたわけではなかったのだ。こんな話はそのへんにごろごろ転がっている。自分に溺れず、自分を過大評価せず、他者の自分への評価を半分ぐらい差し引いて受け取ること。それが私の鉄則だ。