

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2002-01-21 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
つまり、不登校新聞の編集長は私を褒めてくれたのだ。私がメディアの中でフリーランスで自由に発言している様を。で、それは不登校の子どもたちのあり方と同じなのだ、と。私は「ちょっと待ってくれ」と言った。まず、決して私は「自由」ではない。これまでメディアの中でさまざまな試行錯誤やトレーニングを重ね、必ずしも愉快ではない人間関係も保ちながら仕事を継続してきたが、それは「自由そう」に見えるだけである。また、私と同じようなフリーランスライターという肩書を持つ人達はおそらく私の何倍も不自由である。ぜんぜん本質的にフリーなんかじゃないのである。そして、不登校の子どもたちが自分たちを自由と感じているかどうかは知らないが、学校という体制からドロップアウトして(させられて)手にいれたそ
れと、私が十数年かけてそれこそ学校以上に理不尽な社会の中で七転八倒してきて手にいれたそれ(あくまで自由そうに見えるだけだが)を容易に比較してしまう精神が理解できなかった。私はそこに、不登校に対する過剰な美化や幻想のようなものが感じられて仕方なかったのだった。
前号で紹介した『子ども論』(クレヨンハウス)での鼎談(二〇〇〇年九月号)では、さきのエピソードをはじめとした、これまでに私が経験してきた、不登校についての疑問をいくつか提示したのだった。それに対する、フリースクール「東京シューレ」を主宰している奥地佳子さんの反論は二〇〇一年三月号に掲載してある。双方を読んだ上で、読者の方々のご意見をお聞きしたい。この議論は、何人かの論者で編む『子どもに権利は必要か(仮題・版元未
定)』という単行本で整理・公開したいと思っている。むろん目的は、子どもの人権をめぐる議論を活発化させることである。今年の秋ぐらいに刊行を予定している。