

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-12-17 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私が大学に通ったのは、入試と入学式、そして初日だけだった。いまでも覚えているのは、どこかのゼミに顔をだして、先輩たちに「何のためにあなたたちは大学で学んでいるのですか」と大声で聞いて、ポカンとされたことである。たしか、「ぼくは学校を変えるために知というものを得てきた。世の中を変えるために学問はある」と生硬かつ青臭く、生意気なことを口走ったと思う。言い放つと何か勝ち誇ったような気持ちになった。いま考えると赤面ものである。
私にとっては良くも悪くも「市民運動」が事実上の学校だった。学校の外側に学校があった。教師ではない人たちが、私の先生だった。初めて見聞きする社会の現実や矛盾の背景や構造を知るために本を読み、他者の話に耳を傾けた。いわば「現場」が私に「学び」ということを動機づけたことになる。
そういう体験をしてきた私にとって、大学はいかにも退屈そうに見えた。いま考えると、聴いておけばよかった講義がいくつもあるけれど、当時は、カリキュラム化してあるだけで嫌気がさし、そこに属さなければ知識が得られないということが受け入れられなかった。
すぐに週刊誌記者をはじめていた私は、ふられたネタを取材する行為にまいにち追われていた。芸能ネタから、セックスネタ、社会ネタまで会議で割り当てられたネタに食いついていかねばならない。清濁合わせ呑まなければやっていけない仕事のおもしろさに私はとりつかれていった。