

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-12-03 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私は全身全霊を込めて打ち込んできた活動を私はやめることにした。仲間から浮いてしまっていた私は誰にも相談することなく、事務所を借りていたマンションを解約。このまま、事務所を借り、ただ無目的に集まっていても、管理教育を告発していく運動にいっこうに結びついていかない。だから、閉める──こう私は一方的に通告し、物品を運び出してしまった。たいしたものはなく、作業は1日で終わった。夜逃げに近いようなかたちで、私は自分自身の十代に終止符を打った。いっしょにやっていた仲間たちからはさらなる罵詈雑言が投げつけられ、大人たちからは裏切り者、などと陰口を叩かれた。
閉める前に、私は東京の私立大学に合格していて、東京と名古屋を往復する生活を送っていた。私は事務所を閉めたのを機に完全に東京に居を移した。世田谷・喜多見にある四畳半共同玄関・トイレというボロアパートだった。家賃はたしか2万円だった。名古屋から持っていたものはほとんど何もなく、布団と服ぐらいのものだった。
高校生が本を出すことでつくった社会のなかでの「居場所」を、結果的に自分で失い、逃げるように東京に来た。友達もだれもいなくなった。『オイこら! 学校』という本が巻き起こした高校生らのムーブメントは夢のようだった。私は夢の跡に立っているようだった。
何もない四畳半の部屋で、なんともいえない屈辱感と挫折感を噛みしめたことを覚えている。何もやる気が起きなかった。ただ、明日から何をやって生きていこうか、アルバイトは何をしようかということをぼんやりと考えていた。