

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-09-17 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
本を書くことになった17歳の私は毎日、ひたすら何かにとりつかれたように原稿用紙のますめを埋めていった。授業中、深夜の自室、私はかき集めた愛知の「管理教育」の実態を書いていった。この理不尽な「教育」を許すことができなかった。怒りだけが私を突き動かし、一人でも多くの人に訴えかけたかった。
私には一つの目論見があった。それは、私の書く本が県下の高校生らに広く読まれるであろうことを前提にしていたが、なぜか実現できると信じることができた。それは、おそらく寄せられるであろう、高校生らの声を組織して、集会を開いたり、メディアをつくったりして、管理教育に対抗する当事者あるいはそれに近い年齢層の若者の文化をつくることだった。
管理教育の問題から、私は社会のさまざまな問題に目を見開かられるようになっていて、例えば「天皇」の問題についても自分で学ぶようになっていた。天皇の戦争責任や日の丸・君が代の問題について云々というより、私が最も疑問に感じたことは、天皇あるいは象徴天皇制についての批判が許されない空気がこの日本にはあるということだった。「言論の自由」がこの国にはあるはずなのに、天皇制をあからさまに批判すると、右翼が攻撃してきたり、警察から過激派と見なされ監視されるという。
私が高校3年の夏、愛知では高校総体が開かれた。そこには皇太子が来るという。入場行進のときに、皇太子がいるロイヤルボックスに敬礼のようなことを義務づけられたり、皇太子を歓迎するためのセレモニーに高校生らが動員されるとのことだった。そこに組み込まれると、ノーということができない。それは間違っていると思った私は数人の仲間と、愛知高校総体のあり方を見直すための抗議運動を立ち上げた。するととたんに私たちには尾行がつくようになったのだった。