

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-09-03 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私はさまざまな雑誌に投稿や投書をした。愛知の管理教育の実状をメジャーな雑誌で報告して、全国に知ってほしいという思いもあり、岩波書店の『世界』に投書をしたところ、編集者が名古屋にやってきて「じゃあ、君が書いてみて」と言われた。なぜ『世界』だったのかというと、全国誌だったということと、評論家・市民運動家である小田実さんが当時、「管理教育を憂う」という文章を書いていたことが理由だった。
管理教育のモデル校といわれた県立東郷高校に当時在籍していた、私がのちに親交を深めることになる内藤朝雄君は自らの高校を変えるために生徒会長に立候補したのだが、立候補届け出締め切り時間まで複数の生徒に監禁され、阻止されたのだった。小田さんはそのことを取り上げ、そんな「教育」のあり方を厳しく批判していたのだった。
幾度も書き直しをした私の原稿「高校生の見た管理教育」は『世界』に掲載された。私にその文章をベースにした本を書かないかと声をかけてきたのは、東京・水道橋にある教育史料出版会という出版社の社長・橋田常俊さんだった。17歳の高校生に対して飛び込んできた突然のオファーに、私はわが耳を疑ったが、二つ返事で引き受けていた。しばらくしてから橋田さんは名古屋に訪ねてきてくれ、詳しい話をした。私は出版に向けてさらに生活の舵取りを変えていくことになる。