

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-06-18 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
『禁断の教育』に報告されていた愛知県内の県立高校の実情はそれはそれはひどいものだった。東郷高校というところがその筆頭だった。髪の毛や制服の検査は当たり前。生徒たちは定期的に校庭に集められ、物差しでスカートの長さを計ったり、パーマ禁止のため生徒の髪に水をかけて調べる、天然パーマの生徒には「天然パーマ証明書」の携帯を義務づける、学校の帰りにどこかに立ち寄るときもまた教師の許可証を必要とする、ズボンのポケットに手をつっこんで歩くかっこうはよくないということで尻ズボンを除いてポケットをとってしまう、等々挙げていけばはきりがないのだが、バカげた校則がまかり通っていた。破れば、体罰などの制裁が待ち受けていた。
バイク三ない運動というものも当たり前で、「(免許を)とらない、(バイクに)乗らない、(バイクに)乗せてもらわない」という、法律では取得可能なバイク免許取得を禁止し、破れば退学になっていた。法を学校の規則が上回るという異常な事態が当たり前になっていたのである。なかには「一八ない運動」というものを定めた高校もあり、一八番めは「(バイクを)見ない」、というギャグとしか思えないものを、教師たちは大まじめに議論して決めていたのである。
それらの人権侵害に異議を唱える生徒はパージされた。東郷高校では、ただ一人立ちあがった内藤朝生という生徒がいた。彼は生徒会長に立候補したのだが、届け出時刻まで部屋に数名の生徒たちによって馬乗りにされるなど暴力的に監禁され、届け出を阻止されたという体験を持っている。私は今年、その内藤朝雄(現・明治大学常勤講師)と宮台真司(都立大助教授)との共著『学校が自由になる日』(雲母書房)を出版するが、そこには、その管理教育体験が見事に相対化されている。