

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-06-11 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私はさまざまな高校内の自治的活動に関わっていくことになるのだが、いま私の人生を決定づけるきっかけが、その時期に集中していた。高校1年から2年にあがる頃だ。
部活で主将をつとめようとも、テストでいい成績をとらなければ「劣等生」以外の何者でもなかった。バスケ部の主将なんてたいした名誉でもなかった。管理的で暴力的な中学時代に、私だけでなく多くの友人たちが嫌気がさしていた。
だから、みな勉強=テストの成績以外に高校生活の生き甲斐を見つけようと躍起になった。私の友人の1人、井上英明が「社会運動」に傾倒し始めていた。青年期に入り口に立った者の気負いもあったにちがいなのだが、彼を含めて数人の同級生が学校の「外側」の世界に片足を置き、反原子力発電、反部落差別、反朝鮮人差別、反管理教育等々に関わりだしていた。中学時代に押さえつけられていた若い自我が、跳ねるように動きだしたのだった。私はその井上にある本を手渡される。
それは『禁断の教育』と題した単行本で、元サンケイ新聞の宇治芳雄さんというライターの手による「愛知の管理教育」の告発ルポだった。内容は、理不尽極まりない校則やそれを破った時のペナルティとしての教員の暴力−−例えば、夏の制服(白いシャツ)の下に胸にロゴのはいったT シャツ を着ていただけでぼこぼこに殴られたり、深夜に教員が家庭訪問に突然やってきて部屋に上がり込み「勉強に関係ないアイドルのポスターは剥がせ」とべりべりと壁のポスターを破ってしまうという、実際にあったことが、それも同じ愛知県の高校で起きているということに私はひどくショックを受けた。