

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-05-21 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私はバスケットボール部では主将になり、県内の私学のなかではそれなりに勝てるチームを引っ張っていた。が、学業は最悪であった。授業は拷問と化し、テストは10点、20点しかとれなかった。勉学に対する意欲は限りなくゼロに近づき、自分は劣等生なんだという意識を日々強めていった。
おりしも時代は「校内暴力」の嵐が吹き荒れ始めていた。「校内暴力」とは、暴力的な生徒が教師を威嚇する、脅かす、暴行を加えるといった現象を指した。教師が生徒を殴ってもそうは言われなかった。
私が中3のときに「3年B組金八先生」がスタートし、後半にいくにしたがってドラマの主人公は「ヤンキー」が支配していった。「おれたちは腐ったみかんじゃない!」と叫びながら、放送室を占拠して、自分たちがグレた理由をぶちまける。「腐ったみかん」とは、「ヤンキー」のことを指した蔑称である。みかん箱に腐敗したみかんがまぎれていると、箱全体(クラスや学校)が腐っていく、と真面目な顔をして言う教師たちがいたのである。武田鉄也扮する金八先生はむろん、そんな不良生徒たちの味方として描かれていた。
私が通っていた中学もやはり「校内暴力」の洗礼を受けた。教師を殴る生徒が跋扈したわけではなく、他校と喧嘩したり、悪事の数々をはたらく生徒が増殖し始めたのである。劣等生と化した私も、その末端に席を確保しつつあった。