

1965年愛知県生れ。ノンフィクション作家。主な著書に『17歳の殺人者』(ワニブックス)『学校的日常を生き抜け』 (教育資料出版会)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー)など。
2001-05-14 号
藤井 誠二(ノンフィクション作家)
私が入学した中学は地元で有名な私立の伝統校だった。小学校高学年から予備校に通い、倍率2倍ほどの入試に合格した。私立中学を選んだのは積極的な私の意志ではなかった。叔父がかつて通っていたこともあったが、片親となった母親がそのコンプレックスをはねかえすために、息子を私立に入れたという側面が強かった。むろん、当時はそんなことは意識するはずもないが。
入学した中学は校則が厳しく、教師も高圧的な人間が多かった。体育教師は平気で生徒をぶん殴り、校則違反者を体育教官室の前でバリカンを使って丸坊主にした。「人権侵害」がすべて「伝統」にすり替えられ、生徒たちは「有名私立」に通っているというだけの自尊心でそれに耐えていたような気がする。少なくとも私はそうであった。
勉強の進度も早く、中3で通常の高校のカリキュラムをこなさなければならなかった。私は入学当初は上位の成績をおさめていたが、部活のバスケットボール部に熱中してバランスがとれなくなり、成績は転落の一途をたどった。両方をばりばりとこなしている連中もいたが、不器用な私にはとても無理で、中3に上がる頃には全校生徒約400人中、後ろから数えたほうが早い位置に落ちていた。授業、とくに理数系の授業はさっぱり頭に入らず、拷問以外のなにものでもなくなっていた。