

ヴィジュアリスト。高校時代に8ミリ映画を作り始め、大島渚ら映画監督に高く評価される。常に先鋭的な映像制作にチャレンジし、映像メディアのほかジャンルを超えた表現活動を続けている。
2001-08-31 号
手塚 眞(ヴィジュアリスト)
ぼくはグルメとは言えないけど、おいしいモノには眼がない。
本当に美味しいって、どんな感じかわかる?
口の中で味が静かに広がって、身体を包んでゆくような感じ。栄養が生命となって、身体中に染み込んでくる。意識が宇宙まで突き抜けちゃうような気がしてくる。
そんなとき、ジーンと感動して、声も出せない。思わず眼をつぶってしまう。涙出ちゃうこともある。
そして、生きていて良かった、と思う。
食べ物って、本当に生命のモトなんだよね。本当に美味しいものって、味がどうのこうのって言うより、生命のための善い食べ物だなーって。
変に凝った料理より、素材の良さ、腕の良さがカナメかな。
お米のゴハンだって、大感動することあるよ。
そんな味に出会ったとき、たぶん本当にリラックスしている。なんか仕事や立場や人間関係を忘れて、生き物としての本質的な意識に帰れるから。自分以上に自分の存在に戻れる瞬間。
だからせめて食事のときぐらい、リラックスしていたい。お腹が空くからただ食べるのではなくて、生きている実感を味わいたいから。