

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-12-29 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
2002年も終わろうとしています。皆さんにとって、今年はどんな一年だったでしょうか?
わたしにとっては、とてもとても大きな一年でした。たまたま50歳の節目を迎えましたが、五十年の中で特に印象に残る年だったと感じます。
この二十年近く取り組んできた教育改革の仕事が、学校完全週五日制のスタート、新学習指導要領、総合的学習など小中学校の教育システムの転換、という形でいよいよ実現したことが大きいのですが、それだけじゃない。そのこと自体よりも、教育改革を実現していく過程の中で大人、子どもを問わずたくさんの人たちと出会い、話し合い、何かを一緒に作っていく体験をしたことが印象深いのです。
祥豊小学校の子どもたちと一緒に授業したのをはじめ、東北大学や東京大学で学生たちと議論したり、NHK「しゃべり場」に出たり、さまざまな場で若者や子どもたちとふれあい語り合いした中で、学力低下論や生活マナー低下説などの「今の子どもは…」式議論がいかに空疎かを痛感しました。現実にそこにいる若者や子どもと真剣に向き合うところから始めなければ、建設的な方向へは進まないと確信します。
だから悪いのは今の大人…
かというと、そうでもないのです。たしかに、子どもと向き合いもせずに「今の子どもは…」と決めつける醜悪な大人がいることは事実。でも、自分たちも変わらなきゃと思い始めた大人がどんどん増えてきています。
毎週のように全国各地を回って、PTAの会や市民が作る教育イベントに参加していると、日本の大人も変わり始めた!
と実感できるようになりました。人のせいにせずに、自分たちが何をすれば社会が良くなるのかを真面目に議論する集まりが、ほうぼうで増殖しています。お役所(学校を含めた)の言いなりになるわけでも、マスコミの報道を鵜呑みにするのでもなく、自分たちで考え、自分たちで何かを変えていこうと動き始めた大人たちが、いかに多くなったことか。
そうした集まりには熱気がある。参加者の顔を見ていると、ほんとうに心強くなります。
二十世紀後半、とくにバブル経済の頃日本の大人たちはひどい有様だったけど、二十一世紀に入ってから再びしっかりしてきた、と後世評価されるようになることも、決して夢ではないと思っています。