

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-11-24 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
5月に京都市立祥豊小学校で総合的学習のゲストティーチャーをした話は、この連載の#58-59と#63-65で五回にわたってご報告しました。わたしにとっては、それだけ大きな経験だったのです。直接子どもたちと一緒に授業を進めていく中で、これまで長年行政の立場から見てきた教育という営みの、新しい面が見えたように思います。
五年二組の子どもたちとの交流はその後も続いていたのですが、そんな勢いで、二学期にも引き続いて授業をすることになりました。10月7日。今度は、子どもたちが四月以来半年間調べて考えてきたことを年明けにまとめるための中間発表をする「祥豊タウンミーティング中間報告会」です。
今回うれしいのは、五年生のもうひとつの学級、五年一組との合同授業で学年全体の活動であること。より多くの子どもたちと一緒にやれるのが、とても有り難い。クラスの人数が多いのをマイナスにばかり考える人がいますが、わたしは、たとえ少人数に比べ話を伝えるのに骨が折れるとしても、できるだけたくさんの子どもと接したいと思うのです。
5つのグループに分かれての発表を聴き、それに関して話をするのがわたしの役目です。子どもたちは、目、耳、手足の不自由な人、お年寄り、幼児と5種類の、地域で生活をする際に困る場面に出会いやすい人々の立場に立って、住みやすい、暮らしやすい町をつくるにはどうしたらいいかを考えました。
考える際のキーワードまで、自分たちで決めています。「バリアフリー」「バリア」「自分にできること」の3つ。「バリアフリー」だけでなく、フリーにする、すなわち解消しなければいけない「バリア」についても同じ重みで見ているところがすばらしい。そして何より、「自分にできること」を追求しようとしているのが感動的です。
だって、最近の大人たちときたら、「自分にできないこと」ばかり言いたがるんだもの。「忙しくて○○ができない」「不景気で○○ができない」「余裕がなくて○○ができない」…
と、できない言い訳ばかり並べ立てる。これでは、教育だって福祉だって経済だって環境だって、よくなるはずがないじゃありませんか。
それに比べて子どもたちの前向きなこと。