

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-11-10 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
はっきり言います。日本の教師ほど不平不満ばかり漏らしている職業人はいないのじゃないでしょうか。
もちろん、すべてがそうなわけではなく、わたしの実感では多くの教師は文句抜きで一生懸命仕事に打ち込んでいる(でも、別にそれが特別りっぱなことではなく当たり前の話なのですが)はずで、学者先生たちが騒ぐ「現場」とは少数派にすぎないとは信じていますが、それでも、二、三割の教師たちが不平不満ばかり言い立てているのは事実でしょう。
仕事に関して苦情を一切許さないなどと決めつける気はないし、また、国民の皆さんに教師だけは特別に不平不満を大目に見ようという気持があり、それを反映したマスコミが不平不満教師の側に立った報道をする傾向があったのも事実。 だからといって、それに甘えるにもほどがあると思います。しかも、現在では国民の皆さんも教師を特別視はしていない。まだ「子どもを人質にとられている」意識も根強いので面と向かっては出ないでしょうが、「不況で国民全体が失業におびえ生活不安を抱えるときに、教師だけ甘えるな!」との声がほうぼうで聞かれます。
不平不満の代表的なものは、忙しい、担当する生徒の数が多すぎる、上(イヤな言葉ですね。今どき上だ下だと言いたがるのは役人くらい)の締め付けがきつい…。
忙しいは論外ですね。じゃあ忙しくない職業は何なのか?
自分たちだけが忙しいとする根拠は何か。全然説得力はありません。
生徒の数が多い?
そりゃ少なければ楽だろうけど、教師一人当たりの生徒数は20人余り。警察官一人が担当し安全を守る必要のある国民は500人以上、医師一人が健康を守る必要のある国民は約800人、それらと比べて教師だけがたいへんなのだろうか。
「上の締め付け」というと悪代官か何かみたいな感じですが、要するに組織として必要な管理のこと。当たり前じゃないですか。管理のやり方が行き過ぎていたりする場合に問題にするのは当然として、管理自体が嫌だというなら、組織を辞めてもらうしかありません。身分保障、終身雇用、社会的信用等々の組織に属することのメリットは享受しつつ、管理されるのは嫌、なんて通用するはずもない論理です。
だいいち、不平不満ばかり抱えているオトナが教師として子どもたちと一日を共にするなんて、子どもの未来のためにも良くないと思いませんか?