

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-10-20 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
その誕生に苦労した総合学科。初年度である94年度には、岩手県立岩谷堂高校、栃木県立氏家高校、和歌山県立和歌山高校、島根県立益田産業高校、沖縄県立沖縄水産高校、国立筑波大学附属坂戸高校の6校がスタートを切りました。8年後の現在、全国で186校にまで増えているのは、各地で歓迎されている証拠だと思っています。
北海道森高校の場合も、とにかく生徒が明るいのがうれしかった。学校はまず、何より生徒が明るくなくちゃいけないと、わたしは思っています。楽しくなければ学校じゃない。楽しい学校であってはじめて、勉強にもスポーツ、文化活動にも打ち込めるというものです。その意味で、森高校は「いい学校」だと感じました。進学実績の優秀な学校を「いい学校」と盲信するのは、もうたいがいにした方がいい。
森高校の学校案内パンフレットは、他校のように進学、就職実績を誇るようには作られてありません。どこに何人入ったかではなくて、自分の進路をじっくり選んでそれに向かって自分だけのカリキュラムが組めることが、最大の売り物なのです(進学実績がないから書けないのだろう、などというのは心貧しい考え方。そういうのを、「げすの勘ぐり」と言います)。
明るく感じるのは、森高校に制服がないからでもあります。みんな思い思いのファッションで、といって奇抜に走るのでなく自分らしいかっこうを選んでいます。考えてみるとそうだよね。授業を選べる学校なのだから、服装が選べてもいい。学校に決めてもらうのでなく自分の責任で決める、という意味では同じことなのですから。
三年生の授業を、いくつか覗かせてもらいました。「社会福祉実習」では、大きな身体の男子も交じって幼児の保育に使う絵本を作っていたし、「書に親しむ」では、みんなのびのびした字を書いていたなあ。「オーラルコミュニケーション」では英語しか使わない会話の授業、商業系の「総合実践」ではコンピュータを使った最新式の商取引シミュレーションが活発に行われていた。
そして「調理実習」では「森町の特産
いただきまーす」と題して、いかのバターソテー、かぼちゃ団子、ヨーグルト〜プルーンジャム添えの献立を、男子女子一緒に製作中。わたしの顔に、食べてみたいと書いてあったんでしょうね。「食べませんか」と誘ってもらえました。地元特産のかぼちゃを使った団子は、自然の甘みが最高でした。
楽しそうに学ぶ光景を見るのは、こちらまで楽しくなります。