

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-09-29 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
「考える高校生のためのサイト」でのコラムなのに、このところ高校に直接かかわる話題があまりなくてごめんなさい。だからというわけじゃないけど、今回はひさしぶりに高校という場所に行ったときのことを。
95年から98年まで広島県の教育長をしていた頃は、しょっちゅう県立高校を訪ねてまわっていました。特に、工業、商業、農業などの専門高校や普通科でもいわゆる「進学校」ではないところへ、ほうぼう出かけていったものです。生徒の大半が大学進学するような学校は、特色もなければ特別な問題を抱えているわけでもないから、そう注意しなくてもいい。学校や生徒が困難な状況にあるところこそ、よく見て、教師や生徒の話を直接聞き、どう改善すればいいかを考える必要があります。
授業がわからないから学校へ来るのが面白くない、という生徒の声から、小学校や中学校でつまずいていてわからなくなったところから復習していく数学の授業を開設することにしました。教師や生徒の要望に応えて新しいタイプの実習教室を作りもしました。学校とは、そこで学ぶ者のためにあるのであって、文部科学省や教育委員会がこうあるべきと決めるのに従うだけでは不十分です。なにしろ、れっきとした行政サービスのひとつなのですから。
楽しかったですね、高校生と話すのは。
商業高校にコンビニエンスストアと全く同じ実習室を作って生徒が社長や役員になって経営する校内コンビニを開業したときには、茶髪の女生徒「社長」から名誉株主に任命してもらいました。工業高校では、オレの旋盤の腕前を見てくれ、という男の子に彼の削った歯車を見せてもらったなぁ。
農業高校の子たちが夏休みタイへ短期研修旅行に行って農村にホームステイした話もすばらしかったし、マレーシアへ修学旅行に行った国際高校の生徒たちがクアラルンプールの豪華ホテルよりホームステイしたお宅の質素な暮らしが忘れられないという感想だったのもよかったね。総合学科高校に入学してきた身体の不自由な男の子が口でくわえた割り箸でキーボードを叩いてノートをとっている姿も忘れられないし、総合学科につきものの休み時間の教室移動の際クラスメートが彼を助けているのには胸うたれました。
おやおや、思い出ばなしになってしまった。総合学科高校・北海道立北海道森高校を訪ねた話は次回に。