

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-09-15 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
生活習慣病は、文字通り日々の生活の在り方に起因する病気ですから、ある意味、予防は簡単で誰にでもできることになります。酒を飲む、飲まない、煙草を吸う、吸わない、栄養のバランスとれた食事をする、しないの問題なのですから。日常生活の上で気をつけようと思えば、いつでも改善できる。よく大人たちが使う「そんな難しいこと、自分にはできない」とか「忙しくて暇がない」とかの、やらない言い訳は通用しません。
現に、素人で医学的な「難しいこと」は知らないし、忙しさでは人並み以上のはずのわたしでも、生活習慣病の予防を心がけることはできるのです。完全禁酒するだけの意志は貫けませんが、今までに比べて飲酒の量を大幅に減らそうという試みを、もうかれこれ一ヶ月実践しています。また、食事についても健康に留意した内容にするようにきちんと考えているつもりです。少なくとも、自分でできる範囲のことはなにがしか配慮ができるし、病気にならないような努力は可能だと言えます。
もう五十年も生きてしまったわたしの場合は、今さらがんばったところで挽回不能の部分もあるかもしれません。でも、若い皆さんが現時点から健康に気をつけてくれれば、相当大きな効果があると思うのです。少なくとも、酒や煙草、ドラッグなどを避けたり、無理なダイエットをしないようにしたりしてほしいと願います。
よく、少子高齢化の傾向が進むと少数の若年世代が大量の高齢者を支えなければならない、などと暗い見通しだけが語られると若い皆さんはうんざりしてしまうでしょう。高齢者が使う多額の医療費を、働いて保険料や税金を払う現役世代が負担しなければならないとしたらたいへんだ。でもそれは、将来必ず高齢者になるはずのわたしたち大人や、皆さん自身が健康に留意することなどによって医療費全体を抑制していけば回避できる可能性のあることなのです。
少々お説教じみて聞こえたかもしれません。だったとしたらごめんなさい。ただ、わたしが伝えたかったのは、ひとりひとりの小さな努力によってでも社会全体の何かを変えることはできるということなのです。