

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-08-25 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
健康は個人のためにだけあるのではない、という話。
われわれが病気やケガをすると、当然のことながら病院などへ行って治療を受けます。その費用は誰が負担するのかご存じですか?
自分(子どもの場合は保護者)に決まってるだろ、と思うかもしれませんが実は違う。
治療費の大半は、国民皆が加入している健康保険によって支払われているのです。加入者(普通は所帯主)本人だと8割、皆さんのような加入者の家族に当たる人は7割が、保険の会計から支払われます。あなたが病院で治療費を300円払ったとしたら、医療に実際にかかった費用は1000円なのであり、残りの700円は健康保険で穴埋めしているのです。
直接加入者であるわたしの場合は、200円ですみ、800円は保険がカバーしてくれます。ただもちろん、健康保険の会計に積み立てられるお金は、わたし自身の懐から出たものですから、自分が全額負担しているのと同じじゃないか、と言われそうです。でも、そうじゃない。
たしかに健康保険会計を積み立てるのはひとりひとりの国民ですが、使う額は必ずしも払った保険料に応じるわけではない。もし、すばらしく健康で病気もケガも全くしない人がいたら、積み立てたお金を全然使わないことになる。一方、ひどい病気に苦しむ人は、たくさんの医療手続きを費やすから、積み立てたよりはるかに多額を使わざるを得ません(これを不公平!
だなんて思わないよね。健康な人は幸福で病気の人は不幸。幸福な人が不幸な人を結果的に助けるわけだから、損とか得とかいう概念は当てはまらない)。
つまり、ひとりひとりが自分で自分の医療費負担をするのでなく、「保険」と名付けているように、将来病気やケガに苦しむ可能性のために皆でお金を出し合い、その可能性が現実のものになり苦しむことになった人がそれを利用することができるシステムなのです。だから、積み立てたのはひとりひとりの個人でも集まったお金はみんなが病気やケガに苦しむときに使う「みんなのお金」として運用される。
そう、高校生である皆さんの治療費は3割が保護者のお金で、7割は「みんなのお金」で支払われているのです。そのことを、まず理解してください。