

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-07-21 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
「しゃべり場」、見ていただいた方はいかがだったでしょうか?
「何のために勉強するのか?」というテーマ。TV局側の要請があって、「大人道場破り」なる役割を担わされたわたしが、学歴社会がなくなろうとしているのに、まだ学歴のために勉強するの? と「挑戦」するわけですから、もともと あまりいい役回りではない。しかも、それぞれ個性的な10人のレギュラー十代(わたしの部分は一人欠席)の面々ですから、道場破りにやすやすと看板を明け渡すわけもありませんね。
面白かったのは、番組を観た人たちからの感想です。あの番組、大人には評判悪いんですね。改めてわかりました。「なんて生意気な子たちだ!」「言われっぱなしじゃいけないじゃないか、ちゃんと反撃しろよ」みたいな反応。たしかに、猪瀬直樹さんなんかは怒りも交えつつしっかり反論し、説教までしてましたものね。わたしが弱腰に見えたとしても仕方ないでしょう。
でもわたしは、敢えて受け止める一方にしようと思ったのです。彼らひとりひとりに、短いとはいえわたしの知らないそれまでの人生があるわけだし、そこで起こったことを知りもしないのに、あなたはおかしい、とか、間違っている、とか軽々しくは断定できません。だとすれば、意見を聞いて受け止め、それについてわたしの考えることを押しつけがましくなく伝えるのがいいと思いました。
大人として、若者あるいは子どもに対しどう接していくかは、それぞれの人間のいわば見識だと考えます。今の大人に必要なのは、どんな接し方にしろ明確な見識をもって臨むことではないでしょうか。
そこをきちんとするのは、決して子どもを甘やかすこととは違います。大人と子どもの立場や経験や役割はたしかに違うけれど、基本的には人間同士の関係であるのを忘れるべきでないと思うのです。子どもは大人の従属物でないのはもちろん、弟子でも子分でもないのですから。