

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-06-30 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
ワールドカップの話題が続いて、京都市立祥豊小学校5年2組で総合的学習の授業をした話が途中のままになってしまいました。5年2組の子どもたちも、ネット検索でこのページを見つけて読んでくれているそうなので、この場を借りておわびします。いつも皆ですばらしいお手紙をくれるのに、忙しくて返事が書けずにごめんなさい。必ずまた、皆さんと一緒に勉強しに行くからね。
ぐずぐずしているうちに、その日の授業ドキュメントをまとめてくださった方がいますので、それをそのままご紹介するのが、どんな授業をしたかの報告になるでしょう。ちょっと長くなりますが、この春から始まった総合的学習がどういうものか知っていただくためにも、何回かに分けて読んでいただきたいと思います。つきあってください。
まずは、この授業のねらいから…。
【授業のねらい】
今回の授業のねらいなどについて,担任の先生にお話しを伺いました。
Q:今日の授業のねらいをお話し下さい。
A:今日の授業は,「自分にとって地域とは,どんな意味があるのか」を考える ために,ゲストティーチャーをお迎えしました。例えば,子どもたちは,歩道に ある点字ブロックや駅の券売機などのバリアフリーの工夫などについてはよく知っていますし,たくさん増えればいいと言います。しかし,その目線の中に,自分とのかかわりという視線が入っているかとなると,まだ十分ではないと思います。この5年生は,地域というフィールドの中で,福祉やボランティアについて学習します。ここで形成された認識が,社会参加へとつながっていって欲しいと思います。このエネルギーになるのが,『自分と他者とのつながりの実感』だと思います。この自分は,地域の一員としての自分なのですが,このことを考える契機となるのが今日の授業だと考えています。自分と人とのつながりや人とのつながりの温かさを実感しながら,自分の地域を見つめる。そして,いろいろな立場の人が共に生活する上で,自分が果たすべき役割について考えさせたいと思います。この学習を通して,地域の一員であるという意識を培い,その自分が今何をし,人とどうかかわり合って生きていけばいいのかを追究していきたいと思います。
Q:子どもたちはどんな授業だと思っているのでしょうか。
A:子どもたちにとっては初めてのゲストティーチャーです。これから授業を進める中で,多くの地域の人や専門的に研究されている人たちの支援を受けることになります。クラスの子どもたちは素直で明るく,物事に真っ直ぐ取り組む反面,多面的な思考がやや苦手なところがあり,段階を追ったきめこまかな指導が必要となります。自分が地域の中の一員として,他の人とどのようなつながりがあるのか,互いに助け合う関係について深く考える機会もあまりなかったように思います。今日の授業が,地域や人,自分の役割というものについて考えていく第一歩になれば素晴らしいと思います。
授業が始まる5校時が近づいてきました。始まる少し前,子どもたちが寺脇先生を控え室まで迎えに来ました。いよいよ,先生としての初めての授業が始まります。
「文部科学省の人は怖いかな。きっと,難しいこと言わはるんやろうなあ。」
「怖い人,いややなあ。おこらはったら,どうしよう。」
子どもたちのこんな不安も,授業の開始と同時にふっとんでしまいました。子どもたちは,寺脇先生の授業(テラワキワールド)の世界に入っていきました。