

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-06-09 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
ワールドカップ真っ最中ということで、小学校での授業の話をちょっと中断し、そちらについて触れてみたいと思います。
6月3日のNHKラジオ「いきいきホットライン」にゲスト出演しました。このところ、テレビやラジオに出るのは「ゆとり教育」是か非かの問題ばかり。いささかうんざりする気分もあったのですが、この日は違いました。「ワールドカップが始まった!」という特集で、子どもたちにワールドカップをどう受け止めてほしいかを語ってくれとの注文です。
こんな前向きの話題なら大歓迎。実は、話前後しますが京都の小学校でもサッカーは子どもたちの一大関心事でした(その意味で、このコラム前2回の流れにもつながり、番組の中でも授業のことを話したのですが、そちらのくわしい内容はまたあとで… )。好きなサッカーチームは? 好きな選手は? と質問されたくらいです。
そのとき、好きな選手に現アビスパ福岡の盧廷潤(ノ・ジョンユン)を挙げました。日本人じゃないの? と子どもたち。そう、わたしはサッカーを東アジアという幅で捉えてみたいのです。今回出場国でいえば日本、韓国、中国。そうしたとき、日韓の架け橋になろうという気持で韓国国内からの批判に耐えながらJリーグに挑んだノ選手の生き方に、敬意を払いたくなるのです。
スポーツ下手でやるのは苦手のわたしですが、観る方はそこそこ熱心です。メキシコ五輪で銅メダルをとった第一次サッカーブームに中学生でしたから、当時の日本リーグの試合をテレビで観たりしていました。Jリーグも、広島県の教育長をしていた関係で、県も出資したサンフレッチェ広島の役員になり、94年の1stステージ優勝を味わったりしました。ノ選手は当時のサンフレッチェ主力選手で、アメリカ、フランスと二度のワールドカップで韓国代表になった名プレイヤーです。
今回のワールドカップ、日韓共同開催なのはもちろんのこと、わたしは日中韓3国がそろって出場することにも注目しています。東アジアの3国がどんな成績を収めるか、全部を応援したいと思います。初戦の結果はご承知のように勝ち、引き分け、負けに分かれましたが、中国にもまだ予選リーグ突破の可能性はある。そろって決勝トーナメントまで進めればすばらしいことです。
…と、こうした見方に興味をおぼえた方は、盧廷潤著『日韓サッカー文化論』(講談社現代新書)を読んでみてくれるとうれしいです。そして、このコラムお隣の藤井誠二さんの力作『コリアンサッカーブルース』もお薦めの一冊。さらにディープなところで、日本と「コリアン」との間の問題をわからせてくれます。