

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-06-02 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
そんなわたしを「ゲストティーチャー」として招いてくださったのは、京都市立祥豊小学校5年2組です。この4月から全国の小中学校で始まった「総合的学習」のテーマに、このクラスは「地域の一員としての自分——みんなにやさしい町作りをめざして——」を選んだ。自分たちの学校の校区を地域社会と捉え、そこをよりよいものにするためにどうすればよいかを考えるというものです。
で、わたしに与えられた課題は、この時間の学習のねらい「自分との関わりを意識しながら、地域の特性を見つけ、地域のもつ意味や役割について考える」に沿って「ゲストティーチャーを招いて、地域のもつ意味について考える視点を得る」という部分を担当する役。
これなら、なんとかできそうな気もします。だって、地域社会ために仕事をするのがわたしの職業ですもの。え? とお感じになりますか?
でも公務員は、その属する地域社会のために貢献する仕事なんですよ。村役場の役人は村という地域社会のために、市役所の役人は市のため、県庁の役人は県、しからばわたしは、日本というそれらに比べれば広めの「地域社会」のために働いているわけです。ね、「地域のもつ意味について」語るのはけっこう適任でしょう(でも、地域たとえば日本のために働いているとは到底思えない官僚がいたりするから、信じてもらえないかもしれませんが)?
しかし、なんといっても授業をするのはまったくの素人。子どもたちを引き込むことができるだろうか、不安でもありました。退屈して騒ぎが起こったらどうしよう。よそ見ばっかり出たらどうしよう。なにしろ相手は5年生だもんなぁ。大学生に講義したり、大人相手に講演したりするのとはわけが違う。
NHKテレビの人気番組『課外授業
ようこそ先輩』を見るといろんな有名人の方々が小学生たちから大歓迎されていますが、あれは各界超一流のプロだからわたしとは比較になりません。有名人でもないオジサン役人を5年2組の子どもたちは受け入れてくれるだろうか?
正直なところ、心配でした。