

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-05-19 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
「逆向き地図」は、何度でも見れば見るだけ新しい発見があります。
この地図だと、よくある日本地図のようなデフォルメがない。「デフォルメ」とは、奄美諸島や琉球諸島の「南西諸島」を地図の隅っこに別枠で示してあることです。スペースの都合上仕方がないのでしょうが、まるで、卒業のクラス写真などでその日欠席だった子が円内写真で加わっているかのようで、沖縄ファンのわたしとしては、いつも釈然としない気持でした。
それが、この地図ではちゃんと表示されている。すっかり満足です。でも、改めて日本列島の本当の姿を見ると、けっこう長大なものがあります。普通の地図では北海道から九州、せいぜい種子島、屋久島あたりまでを「日本列島」として認識するわけですが、北海道から南西諸島の端の与那国島(ここから台湾まではほんのすぐ)までとなると三割り増しの距離になります。
普通だと静岡県あたりが日本の真ん中に思えますが、こうやって厳密に眺めてみると四国のあたりが列島のちょうど真ん中あたりです。もちろん、人口の分布や経済活動のウェイトを考慮すれば東京や大阪あたりが日本の中心であることは事実ですが、「四国が真ん中」的視点で南北に長い日本列島を意識してみるのも一興です。そして、つい考え落としてしまいがちな南西諸島にも思いを致してほしいものです。
軽々しい認識をしてしまうと、ウタリ(アイヌ)などの存在を忘れて日本人は単一民族だ、なんていうはなはだしい事実誤認になってしまいます。同じように、日本は小さな島国で国内の気候や文化の違いはほとんどない、という考えも間違いです。面積こそ小さいけれど、列島が南北にのびる全長はアメリカ合衆国の南北の長さとほぼ同じなんですから。
今年の冬、わたしはそれを体感しました。二月に行った沖縄は、桜も散って東京なら四月下旬の陽気でしたが、その翌週、北方領土が見える北海道根室に近い中標津というところへ行けば、昼間でも氷点下10度前後という厳冬。日本列島の長大さが身にしみてわかりました。
どうです? ジョーシキだとばかり思っていたことが、見方を変えると全然違ってくる。だから面白いのです。