

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-05-12 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
中国や韓国、北朝鮮が、日本を脅威に感じていると、よく報道されます。たしかに、過去の歴史においてそれらの国々に実際上の災いを与えてしまったのは事実です。しかし、憲法で永遠に戦争を放棄し、自衛のための戦力しか保有しない現在の日本を「脅威」だというのは、ちょっとピンとこない感じもするでしょう。だいいち今どき、われわれ日本人の中に中国や朝鮮半島に圧迫を加えようなんて考えている者は、まずいないと言っていいのではないでしょうか。
ではなぜ、脅威と感じられるのか。いくらこちらがその気はないと言っても、結局相手がどう思うかという問題だからでしょう。こちらの側からだけの論理を主張して、相手もそれを共有すべきだと求めても通用するとは限りません。自分がこう思うのだから相手もそれを素直に受け入れるべきだ、というのは独善主義というものです。
われわれが日本海と呼んでいる海域は、韓国では東海といいます。日本から見れば日本海、韓国から見れば国の東側に広がる東海というわけです。考えてみれば当然の話。大西洋だって、ヨーロッパ中心の見方でついた名前であって、アメリカ大陸からすれば「大東洋」になります。自国の側からだけ物事を見ていたのでは、相手の気持を理解することはできません。
わたしの部屋の「逆向き地図」を見ていると、日本海を挟んで日本列島が朝鮮半島や中国東北地方に覆いかぶさる形になっています。これをアジア大陸側から受け取ると、圧迫される感じになっているかもしれない。そして、地図の真ん中あたりで日本列島と朝鮮半島がいちばん近接しているのですが、長崎県の対馬と韓国の釜山の間の距離は、東京=横浜間くらいだとわかります。
東京を図の真ん中に置く普通の地図だと見落としてしまうこうした距離関係がはっきりするのも、「逆向き地図」のいいところです。東京中心の見方なら、韓国は結構遠い国にも思えるかもしれませんが、実はつい近所の国。そうしてみると、ワールドカップを共同開催することも自然に感じられてはこないでしょうか。