

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-05-05 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
文部科学省のわたしの部屋には、一枚の大きな地図が貼ってあります。
正式には「350万分の1
環日本海諸国図」といい、日本海を中心にしてその周囲の諸国を地図にしたものですが、普通の地図とはちょっと違う。北が上、南が下という地図のルールを全く無視して作られているのです。方位でいうならば、南東が上で北西が下になっています。普通の地図の感覚からすると、上下が逆になっていると考えてください。
何のため?
アジア大陸の側から日本海周辺を見てみようという発想からなのです。日本海側にある富山県が作製したものですが、新聞で知り、ぜひほしいと思って問い合わせてみたら入手することができました。文字通り新しい視点から日本とアジア大陸の位置関係を確認してみたかったからです。
毎日眺めていると、いくつもの発見があります。今まで当然のように接してきた地図は、日本の側からアジアを見る形になっていました。それを逆から見るだけで、こんなに違ったものが感じられるとは、期待以上でした。
まず新鮮なのは、子どもの頃から頭に焼き付いている日本列島の形が、逆から見ると全く別の印象になることです。普通は、下側に弧を描くお皿の断面図のような安定した形になるわけですが、逆だと中国の東北地方(旧満州)や朝鮮半島に覆いかぶさる蓋のように見えます。また、北海道とロシアの近さ、九州と朝鮮半島の近さがくっきりわかり、日本海がまるで湖のようでそれを囲んで日本、ロシア、中国、北朝鮮、韓国があることがはっきり認識できます。
ともすれば、アメリカやヨーロッパとの距離や関係にばかり目が行くのがこれまでの傾向でしたが、この新しい視点の地図を手に入れ毎日眺める中で、発想の転換を図ってみたいと思います。
皆さんも、手持ちの地図帳などで東アジア方面図があったら、角度を変えて大陸側から見てみませんか?
どんな印象が生まれるか、教えてもらえると幸いです。