

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-04-07 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
春、4月。今年はもう桜も散ってしまったけれど、新しい年度の初めはやはりフレッシュな気持になります。
学校の新学年はまだでしょうが、職場の新年度は4月1日に始まります。わが文部科学省でも、新入職員が初出勤してきたり人事異動になる職員が辞令をもらって挨拶まわりをしたり、この日ならではの風景が繰り広げられました。
そんな中、あるひとりの男性職員がどんな顔で辞令を受けに来るのかを、わたしは注目していました。彼、Kさんは、昨年10月から半年間の育児休業をとっていたのです。家庭科の授業などで聞いたことがあると思いますが、現在の社会では母親である女性はもちろん、父親の方も育児休業をできるようになっています。Kさんは、この制度を利用して子育てにチャレンジしたのです。
実はKさんのパートナー、つまり母親の方もわが文部科学省の職員で所属する課は違いますが同じ生涯学習政策局(わたしはこの局の担当審議官です)のメンバー。普通なら母親の方が育児休業をとるところなのでしょうが、Kさんは、ぜひ自分がやってみたいと考えたのです。
一人目の子どものときには、母親の方が出産休業から育児休業へとひとりでとったのですが、二人目の育児休業は父親の自分がやりたくなった。というのも、一人目のときにパートナーのやっている子育てに協力し、参加するうちに、今度は自分が主になってやりたいと思うようになったそうです。
子育てに協力したことで、その困難さや厳しさは承知の上。でも、それでもやってみたくなるだけの喜びの大きさも知ったのでしょう。
半年の休業期間を終えて戻ってきた彼の顔つきはどうだったか。
そう、「この人間はひとつ大きく成長したな」と感じさせる凛々しい表情でした。4月からは仕事と育児の両方に力を尽くそうとしているKさんを、わたしたち職場の仲間皆で応援したいと思っています。