

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-03-17 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
家族と離れ、隣近所を気にしなくてもいい生活というのは、ある意味快適です。わたしには子どもがいないこともあって、近所づきあいなどほとんどせずに暮らしてきました。東京都内で何箇所かに住みましたが、選挙にはきちんと行くとしても地域住民であることを意識する機会はほとんどありませんでした。ひどいときは区役所のある場所すら知らなかったりするくらいで、ゴミ収集など暮らしのルールにも全く疎かった。
それでも暮らしてこられたのは生活面をカミサンに頼り切ってきたからであり、仕事を名目に何もしない情けないオトコだったわけです。そのことを恥ずかしいと思うようになってきた。三十代の終わりくらいのことです。とはいえ、自分は仕事に追われてなかなか実行できない。自分はダメでも、せめて他の男性たちが生活面で自立できたり地域で活動できたりする手助けが仕事の方でできないだろうかと思い、努力してきました。
世のオトコのためには、まず、生涯学習の普及。会社人間、仕事人間であるばかりでなく自分の趣味や活動をちゃんと持つことによって豊かな生き方が可能になる。また、子育てや日常生活を女性任せにするのでなく自分も参加することによって、収入や肩書きといった表面の価値だけではない人間の生きがいについても感じ取ってもらえるかもしれない。…そう思って生涯学習の普及に取り組んできました。
皆さんに直接関係する仕事では、家庭科の男女必修です。中学校で男子は技術、女子は家庭をやっていたのを男女ともに技術家庭をやるようにする。高校では女子だけが家庭科をやり、男子はそのぶん多く体育をやる(今考えるとヘンな話ですが、昔はそれが当たり前だった)ようになっていたのを、男女ともに同じ時間数家庭科と体育を履修する現在の形にしたのです。それは、言うまでもなく、皆さんにわたしのような料理も洗濯も裁縫もロクにできない生活無能力者になってほしくないからです。
男の子に家庭科なんて…と批判されつつも、なんとか8年前にそれを実施することができました。最近高校へ行くと男子も女子も一緒になって楽しそうに家庭科の授業を受けている風景に出会いますが、それを見るにつけ、変えてよかったなと思います。