

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-01-20 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
初めて、少年院というところへ行きました。教育に関する仕事をしている以上一度は訪ねてみたいと思っていたのですが、法務省関係者のご厚意で視察の機会ができたのです。
少年院といえば、わたしたちの世代だと『あしたのジョー』というボクシング漫画に出てくる陰惨な場所を想起してしまうのですが、もちろんいまどきそんなはずはない(『あしたのジョー』の頃だって、たぶんかなりの誇張はあったのだと思いますが)。まして、わたしの行ったのは女子少年院でもあり、ジョーや力石や西(知らない方にはごめんなさい。)みたいな乱暴者がいるわけもありません。
都内の住宅地の真ん中にあって、施設の名も「○○女子学園」となっており、見た目は普通の学校とそれほど変わりません。高い塀があるわけでもなく、道路からすぐ明るい正面玄関につながっています。ここに、14歳から19歳まで約70人の少女が収容されています。といってもほとんどは14歳から16歳ということで、雰囲気はまるで中学校です。
小さいけれど運動場があり、温水プール、体育館と学校並みの施設はちゃんと整っている。もちろん外出は一切禁止ですが、それを除けば全寮制の学校のようなもの。6年前に新築された校舎は、明るくて気持ちがいい環境です。
ただし、屋上から全体を見渡してみると、やはり裏手の方には高めのフェンスがめぐらしてあってちょっとばかりものものしい。なるほどこのへんは少年院なんだな、と思ったら事情は別の話。収容者が脱出しないように塀があるのではなく、外部からの侵入を防ぐためなのだそうです。
不良少年、少女ものの映画や漫画をたくさん目にしているものだから、つい、「仲間が救出に来るんですか?」なんて間抜けな質問をしてしまいましたが、答を聞いてびっくり、いやそれより呆れてしまいました。防がなければならないのは、変質者など、少女たち目当ての不審な男性なのだそうです。
更生しようと努力している少女たちが逃げることでなく、そんな彼女たちを狙う心ない大人たちが入るのを防ぐためなんて!
今の大人のなさけない有様を、ここでも見せられてしまいました。(この話、続く)