

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2002-01-13 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
新年を迎え、今年をどんな年にしようかという話題の出る機会が多くなりました。1月9日の夜、青少年団体(子ども会、青年団、ボーイスカウトなど)並びに社会教育団体(PTA、婦人会など)の新年会があったのも、そうした場のひとつです。そんな場所で大人たちは何を話していると思いますか?
代表して挨拶に立ったのは、「中央青少年団体連絡協議会会長」といういかめしい肩書きの人。松本零士さんとおっしゃる。そう、あの漫画家・松本零士さんなのです。『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』は、知っていますよね(知らない?
だとすると皆さんとのトシの差を痛感してしまうのですが…)。わたしたち大人にはおなじみの日本を代表する漫画家のおひとりです。
その松本さんがなぜ?と思ったのですが、聞いてみると青少年団体・宇宙少年団の理事長をなさっていて、周囲から推されて連絡協議会の会長の役をつとめておられるとのことでした。松本ファンのひとりとして、個人的にはとてもうれしい話です。
で、何を伝えたいかというと松本さんの年頭あいさつです。
松本さんは子どもの頃戦争を体験した世代。お話によれば、日本の漫画界は大きな世代的断絶があるという。戦前から活躍した加藤芳郎、根本進…
このへんは知らないだろうなあ、でも『アンパンマン』のやなせたかしさんなら知ってるでしょう。それくらいの、今、70代から80代の方々は多数いらっしゃるのです が、松本さんたち60前後の世代まで10年くらいの年代が全くと言っていいほどおられない。その理由は戦争。本来なら漫画家として活躍しただろう多くの才能ある若者が、戦場に倒れたのです。
それに思いをはせながら、今の若者たちに戦争をさせてはならない! と力強くおっしゃった言葉には、深い重みがありました。
さらに印象的だったのは、若者の悪口を言うな、というひと言です。最近特に、今の若者は…式の言説が横行しています。大人が自信を失っている時代には必ずそうした現象が起こるとも言われていますが、わたしも、みっともないと思います。自分たちが努力しようとせずに、やれ学力がどうのマナーがどうのと若者をけなすのは、はっきり言って醜い。そうした言葉を垂れ流す大人の顔を、一度よく見てみてください。