

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2001-11-25 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
恐縮ですが宣伝の続きです。
オススメの本『生きてていいの?』を書いた藤野知美さんの名と並んでわたしの名が載っている理由を説明しておきましょう。

知美さんの文章を世に出すためには、それを客観化する必要がありました。有名人でない個人の手記を商業ベースで本にして出版するのは、よほど特別なものでない限りまず不可能です。あの350万部を越す大ベストセラー『五体不満足』でさえ、営業的には不安視され初版はたった6000部だったといいます。
また、「いじめ」をいじめられた側からの主観だけでとらえるのでなくもっと深く追究することも大事だと考えました。そこで、この本には知美さんと、文部科学省で教育行政を担当するわたしとの対談「『いじめ』について話そう」が掲載されています。それは同時に、子どもの側と大人との話し合いでもあります。
さらに、この対談や知美さんの本を出版するお手伝いをした経緯を通してわたしが考えたことを、教師や親をはじめとするすべての大人に伝えたくて「大人たちへ」と題したわたしからのメッセージを掲載しています。「今の若い者は…」と批判したり、自分には関係ないと傍観するのでなく、すべての大人が子どもたちの問題に、できる範囲でかかわろうと提唱しています。
その意味で、子どもにも大人にも、ぜひ読んでほしい本なのです。
わたしが共著者扱いされているのは、少しは知られている名前を出すことで読者に手にとってもらえる機会をちょっとでも増やそうという思いからです。なにしろ初版は2000部。全国の本屋は一万軒を越えるらしいですから、店頭にすら並ばない場合が多い。書店注文が多数来ることによって出版社も増刷に踏み切ることができる、というのが残念ながら本離れが進む現在の出版事情なのです。勇気をもってこの本を商品化してくれた近代文芸社に、無理な冒険をさせるわけにはいきません。
このコラムを読んでくださる方になら、決して意味のない本ではないと確信しています。図書館に購入希望を出すやり方でも結構ですから、応援してください。お願いします。